安全衛生体制の構築について、
今回は自分の実体験から記載していきたいと思います。
まず、私は社会保険労務士であると同時に
派遣会社の派遣元責任者でもあります。
(自己紹介をご参照ください)
だから今回はそんな派遣会社の
安全衛生管理体制の実例を紹介したいと思います。
労働基準監督署からの指導
以前、勤務している派遣会社(以下「当社」)に、
労働基準監督署から
残業に関する実態調査で
来訪されたことがありました。
そして、残業自体は
施工管理者を派遣していることもあり、
当時100時間を超える時間外労働を
行っている者が散見されました。
それで、労働基準監督者から
長時間労働抑制という指導を頂きました。
しかし、話はれだけでは終わらず、
安全衛生体制をどの様に構築しているかと
衛生委員会の会議資料の
提出も求められました。
しかし、当社は安全衛生委員会も
産業医の選任も行っていませんでした。
その結果、衛生委員会の適切な運用と
産業医の選任についても指導対象となってしまいました。
産業医の選任と衛生委員会の設置
言い訳ですが、
当社は創業者のワンマン経営でした。
だから、健康診断やその他医療関連で
困ったことがあれば、
創業者の旧知の病院で対応する
となっていました。
しかし、創業者が引退し現在の体制になった時、
その病院が当社の産業医として選任していないことが
労基署の監査で判明したのです。
(そもそもその病院の先生が
産業医資格を有しているか否かも
今となってはわかりません)
幸いなことに第一種衛生管理者資格は
保有していたので、
指導後に産業医を探し、
安全衛生委員会を立ち上げ、
衛生委員会を開催するようになりました。
衛生委員会の効果
その後、衛生委員会を開催するようになって
最初は大した意見も改善案もありませんでした。
しかし、何でもやってみるもので、
労働安全衛生法の改正、派遣法の改正、
労働基準法の改正、など法改正があると
それが議題となり下記の様な効果が生まれました。
ストレスチェック制度導入
まず、平成27年12月1日より
労働者のメンタル不調を未然に防止するため
ストレスチェック制度が施行されました。
そして、この制度導入も労働安全衛生法改正の
情報から衛生委員会で議題となりました。
結果として派遣会社として派遣スタッフも含めて
全員への周知徹底が必要であることから、
派遣先で働く派遣社員に対する導入方法から
検査後の医師面談の実施方法までを
法施行前に確立することができました。
残業時間の削減
次に、平成31年4月1日より(中小企業は令和2年4月1日より)
時間外労働の上限が原則として
月45時間・年360時間という上限規制を設ける
労働基準法が施行されました。
当社では建築業界にCADオペレーター、施工管理、
施工図業務、インテリアコーディネーターなど
複数の職種を派遣しています。
職種によっては建設事業の猶予が適用され、
派遣先、派遣社員の職種の組み合わせによって
個別の対応が求められることになりました。
なので、衛生委員会では猶予期間が終了する
5年後も視野に入れ、
月45時間超の時間外労働者を
毎月委員会での報告事項とし
残業時間の抑制施策を立案し、
第一に、派遣先に当社の36協定内容の送信、
第二に、Web勤怠導入による時間外労働の把握、
第三に、80時間超の時間外労働者への
産業医面談の実施などを実施してきました。
結果、2024年3月末までの
建設業の猶予期間を待たず、
前倒しで上限規制の達成が可能な状況になっております。
産業医との連携
さらに、前述の内容も産業医のアドバイスを頂きながら
取り組んできたのですが、
それ以外にも新型コロナウィルス対策、熱中症対策、
事務所内の地震対策、事務所内の作業環境改善(照度管理・温度湿度管理など)、
災害発生時の緊急避難体制、外注対策、食中毒対策
など細かな改善も含めると
非常に多くの内容を改善してくることができました。
安全衛生体制まとめ
スタートは労働基準監督署の指導によるものでしたが、
安全衛生体制を整え、
それを適切に運営していくことで
多くの従業員の就業環境及び
事務所の環境改善につなげることができました。
まずは、皆さんの会社でも面倒くさいと思わず、
安全衛生体制を整備し社内環境の改善に
取り組んでみてはいかがでしょうか?
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