石綿作業従事者に対する健康診断

石綿作業従事者には

特別な健康診断が

義務づけられていることは

ご存じでしょうか?

昨今、石綿関連の規制が強化されたので

該当する方も増えたと思います。

石綿規制強化の背景

さて、石綿規制が強化されていることは

ご存じでしょうか?

そもそも、規制強化のキッカケとなったのは

国家賠償法に基づく訴訟でした。

建設業務に従事していた

元労働者等とその御遺族の方が

石綿による健康被害を被ったのは

国が規制権限を適切に

行使しなかったからであるとして、

損害賠償を請求しました。

その結果、令和3年5月に最高裁判決において

国敗訴の判決が言い渡されました

そして、石綿に関する規制が

強化されることになったのです。

石綿規制強化のポイント

では、具体的にどの様に

規制が強化されたのでしょう?

まず、最も影響が大きい規制は

工事対象となる全ての部材について、

石綿が含まれているかを事前に

設計図書などの文書と目視で調査し(事前調査)、

調査結果の記録を3年間保存することが

義務になったことです。

あまりピンとこない方も

多いかもしれませんが、

ポイントは「工事対象となる全ての部材

ということになります。

なぜなら、石綿が含まれるかもしれない

全ての部材を工事するときは

調査しなければならないからです。

石綿が含まれる部材とは?

では、石綿はどういった

場面で使用されていたのでしょう?

そもそも石綿は加工しやすく、

吸音や吸着性・引っ張り強度に優れています。

さらに、電気絶縁性・耐火性・断熱性にも

優れるという利点もあり建材としては非常に優秀でした。

加えて、安価であった為に

非常に多くの、断熱材、保温材、防音材などの

用途で使用されてきました。

また、石綿は細かな鉱物であることから

接着剤や塗材に混ぜると

剥がれ難くする効果がありました。

したがって、単純に建材として

使用されるだけではなく、

工事現場で使用されることも多々ありました。

そして、これが調査を困難にする

原因ともなっています。

なぜなら、多くのハウスメーカーは

石綿の健康被害の発覚と同時に

含有建材の使用を禁止しました。

しかし、現場では

例えば、塗材への混入

他にも、接着剤への混入

他にも、下地調整剤として使用

されてきたのです。

したがって、建築業者が

ノンアスベスト(石綿)を

うたっていても含有している

ケースは否定し難いのです。

石綿健康診断対象者

では、石綿健康診断の対象は

誰になるのでしょうか?

厚生労働省によると

まず、石綿等を取扱い、

または試験研究のため製造する

業務に常時する労働者

次に、過去においてその事業者で

石綿等の製造または取り扱い業務に

常時従事したことのある在籍労働者

最後に、上記2点の業務の周辺で、

石綿の粉塵を発散する場所における業務に

常時従事するまたは

常時従事したことのある労働者

以上の様になっております。

しかし、この常時従事の定義が

曖昧になるのでもう少し詳しく

説明したいと思います。

では、同様に厚生労働省の

用語の定義で確認します。

すると「常時従事」とは

「継続してその有害業務に従事する」

場合や「一定期間ごとに反復して

その有害業務に従事する」場合と定義されています。

実際には厚生労働省はこの頻度について

ケースバイケースとしています。

しかし、深夜業を事例として

もう少し詳しく説明するなら

まず1週間に1回以上

次に1カ月に4回以上

そして6カ月に24回以上

の業務が発生していることが

ひとつのラインと考えます。

では、具体的な業務として

どの様な業務が該当する

可能性があるのでしょう?

解体工事

全ての建材を調査した上で

解体工事を行っていきますが、

そこに石綿が含有されている場合

解体工事に従事する者

石綿健康診断の対象者となります。

石綿調査者

建材を調査する有資格者

資料・目視では判別できない

建材を試料を採取しますので、

石綿健康診断の対象者となります。

石綿含有分析者

前項の調査者では

判断できなかった建材を

含有分析を行う者

石綿健康診断の対象者となります。

エアコン工事

エアコンの設置には

室内機と室外機をつなぐ

ホースを取り付ける時に

家に穴をあける作業があります。

そう、これも「工事対象となる全ての部材」に

含まれているからです。

まとめ

ここまで説明した業務に従事する方は

6カ月に1回の石綿健康診断を

受ける必要があります。

また、一般健康診断との違いとして

費用は全て事業者負担(一般健康診断と同じ)

そして、健康診断の時間は

労働時間として含まれます

(一般健康診断と違う)

最後に、石綿調査やエアコン工事に

従事される方に補足します。

石綿含有を「みなし」で工事を

実施するということは

全建材を石綿含有とすることです。

つまり、みなしたからと言って

石綿含有なしではなくありの扱いです。

したがって、石綿健康診断の

対象ともなります。

健康診断を受診してますか?

健康診断を受診してますか?

健康診断を受診してますか?

 

厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」へ

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

1972年・大阪府生まれ、日本大学経済学部卒業。
「ハローワーク活用7つの鉄則」で中小建設業の採用対策と社員が辞めない労務管理をサポートする社労士。求人営業を約10年、人材派遣を10年以上経験。2009年に職業訓練(建築CAD科)事業を立ち上げ運営も担当、ハローワーク活用の就職支援で約1,000名のCAD技術者を輩出。卒業生の短期離職で、就職支援の限界を痛感。労務管理改善を目指し社労士資格取得。中小建設業の採用難対策から労務管理を行う。建設業の採用をサポートし『20代の採用は10年以上振り』と感謝の声を頂く。若者離れの業界に採用戦略で風穴を開け、従業員の未来ある環境を真剣にサポートしている。

関連キーワード

関連記事

RELATED POST

この記事へのコメントはありません。

PAGE TOP
MENU
お問合せ