賃上げがニュースなどで
大きく取り上げられています。
しかし、皆さんは本当に
賃上げを実感できていますでしょうか?
報道と実態のギャップ
2023年の春闘での賃上げ率は
3.58%と30年ぶりの高水準となったと
報道されています。
しかし、実際には物価高騰の影響により
実質賃金は依然マイナスの状況です。
また、現政権は2024年には
物価上昇率を上回る賃上げを
実現させたいとしています。
そもそも、2023年の賃上げを
実感できてない状況で
2024年を声高に叫ばれても
誰の胸にも刺さらないのではないでしょうか?
なぜ、このようなギャップが
発生する原因を記載したいと思います。
賃上げ率の根拠
賃上げ率は労働組合のデータ
そもそも、賃上げ率とは
労働組合が実施している
春闘の結果です。
もうちょっと具体的に言えば、
2023年度の賃上げ率は
5,272組合の春闘結果から
算出されています。
さらに、この5,272組合のうち
組合員数300人未満の中小企業は
3,823組合となっています。
つまり、5,272労働組合員の
賃金の上昇率を賃上げ率と
発表しているのです。
賃上げ統計の人数
それでは、この5,272組合というのは
実際にどれ位の統計になるのかを
考えたいと思います。
まず、日本商工会議所の発表によると
2022年度の日本における
総労働組合数は23,046組合です。
つまり、賃上げ率の計算根拠は
約22.9%の労働組合からの回答を
根拠として作成されます。
さらに、同発表によると
2022年の労働組合推定組織率は
16.5%と発表されています。
また、労働組合員数は
999万2,000人と発表されています。
つまり、全労働者の16.5%の
さらに、22.9%の人数の統計です。
簡単に言えば賃上げ率は総労働者中の
約3.78%の統計データということです。
すこし乱暴かもしれませんが、
労働組合は大企業ほど組織率が
高い傾向にあります。
したがって、大企業を中心とした
3.78%の統計データの発表が
賃上げ率の根拠です。
毎月勤労統計調査
以前にも紹介したことがあるのですが、
厚生労働省は毎月勤労統計調査を行っています。
こちらは労働組合とは異なり、
調査する事業所について、
それが全国の縮図となるように
一定の精度を保つ標本数を確保しつつ、
無作為に事業所を選ぶ方法が
採用されております。
では、この毎月勤労統計調査で
本当に賃上げが達成されているかを
確認してみたいと思います。
まず、2023年春闘直後の
2023年4月の給与額は
全労働者合計 284,595円(前年比0.8%)
一般労働者 369,615円(前年比1.3%)
パート労働者 103,278円(前年比2.0%)
という結果になります。
次に、春闘の結果が反映するまでの
期間も考慮して6カ月後の
2023年10月の給与額は
全労働者合計 279,232円(前年比1.5%)
一般労働者 363,772円(前年比1.9%)
パート労働者 103,102円(前年比3.2%)
という結果になります。
いかがでしょうか?
統計データが異なると
その結果は大きく異なります。
私見ですが、実状を反映しているのは
毎月勤労統計調査の結果であり、
これに物価上昇率(約3%)を
考慮すると実質賃金は
大幅にマイナスでだと思います。
まとめ
政府の発表や報道を見て
個人的に実感できないことは
多いと思います。
そこには資料の根拠による差異や
地域による差異などが
発生しているケースもあります。
なぜなら、そういった情報はある一片を捉えて
報道されていることもあるので、
鵜呑みにするのはちょっと危険です。
つまり、情報は正しく取得し
自分なりに精査することも
大切になります。
毎月勤労統計調査と最賃引上
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