デジタル払いは地味かもしれないが大きな一歩の法改正

デジタル払いが解禁されることは

ご存じでしょうか?

実際にはハードルがあります。

今日はそんな話です。

2023年4月1日労働基準法改正

このタイトルを見ると

「月間60時間以上の

時間外労働の割増率が50%」

に改正される内容を

想像される方が多いと思います。

しかし、その裏に隠れて

あまり取り上げられていない改正が

それが「賃金のデジタル払い」です。

賃金支払いの5原則

まず、労働基準法第二十四条において

「賃金は、通貨で、直接労働者に、

その全額を支払わなければならない」

さらに、同条第二項において

「賃金は、毎月一回以上、

一定の期日を定めて

支払わなければならない」

とされております。

言い換えると、賃金は

通貨で

直接労働者に

その全額を

毎月一回以上

一定期日を定めて

支払わなければなりません。

これら5項目が

賃金支払いの5原則と

言われている
のです。

しかし、現実において

皆さんの給与を手渡しする

ケースは極めて少なく、

多くの場合は銀行振り込みで

行われています。

なぜなら、労働基準法施行規則第七条の2において

労働者が同意した場合には、

その例外として、銀行口座と証券総合口座への

賃金支払が認められているからです。

賃金のデジタル払い

この労働基準法施行規則を

一部改正することで

資金移動業者の口座への

賃金支払(賃金のデジタル払い)が

可能
になります。

では、どんな業者でも

デジタル支払いの対象と

なれるかというとそうでもなく、

「最後に口座残高が変動した日から

少なくとも10年は口座残高が

有効であること」などの

様々な要件を満たした業者だけが

デジタル支払いの対象と

なることができるのです。

実際には「PayPay」や「楽天ペイ」などは

このデジタル払いの対象として

検討していると発表されています。

本当にデジタル払いが可能になるか?

法律の改正は2023年4月1日です。

しかし、労働基準法施行規則第七条の2に

銀行口座、証券総合口座にプラスして

資金移動業者の口座が追加されるだけです。

したがって、そこから資金移動業者の申請、

行政の審査期間も含めると

4月1日からデジタル払いが

可能というのは期間的に無理です。

実際には2023年度中に

スタートが切れるイ
メージ

ではないでしょうか?

それでも大きな一歩

賃金は給与所得者の

生活の根幹を支える

大切な原資であります。

だから、民法第三百八条では

「雇用関係の先取特権は、

給料その他債務者と使用人との間の

雇用関係に基づいて生じた

債権について存在する」とされています。

さらに、同法第三百三条では

「先取特権者は、

この法律その他の法律の規定に従い、

その債務者の財産について、

他の債権者に先立って

自己の債権の弁済を

受ける権利を有する」とされています。

この大切な原資を保護する意味で

金融機関の口座にのみに

許されてきた賃金支払いが

資金移動業者にも

要件があるとはいえ、

門戸が開かれる
のですから

大きな一歩であることは間違いありません。

まとめ

具体的な内容が定まっていない

部分もあります。

しかし、賃金の支払い手段が

増えるということは、

労働者にとっては

選択の幅が広がります。

特に、日常的にデジタル払いを

利用している方にとっては

利便性が向上
するでしょう。

そして、企業にとっては

今までは金融機関の口座にのみ

賃金支払い可能であったのが、

その対象が増えることで

競争原理が働き振込手数料などの

削減につながる可能性
が大いにあります。

また、資金移動業者においては

新規顧客の獲得と、

使用金額の増加につながる

可能性が高く、

それぞれにメリットを

享受することが可能になります。

しかし、デジタル払いについては

まだまだ入り口の段階です。

したがって、今後どんどん利便性は

向上していくと思います。

自分の生活スタイルにあった

給与支払い方法を選択し、

利便性が向上するように

よく検討しましょう!

法律を読み解くのに必要なこと

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

1972年・大阪府生まれ、日本大学経済学部卒業。
「ハローワーク活用7つの鉄則」で中小建設業の採用対策と社員が辞めない労務管理をサポートする社労士。求人営業を約10年、人材派遣を10年以上経験。2009年に職業訓練(建築CAD科)事業を立ち上げ運営も担当、ハローワーク活用の就職支援で約1,000名のCAD技術者を輩出。卒業生の短期離職で、就職支援の限界を痛感。労務管理改善を目指し社労士資格取得。中小建設業の採用難対策から労務管理を行う。建設業の採用をサポートし『20代の採用は10年以上振り』と感謝の声を頂く。若者離れの業界に採用戦略で風穴を開け、従業員の未来ある環境を真剣にサポートしている。

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