労働基準法で学ぶ『賃金』の定義と支払いの原則

賃金とは何か?【労働基準法の基本】

そもそも「賃金」とは、労働基準法第11条で次のように定義されています。

賃金・給料・手当・賞与その他名称の如何を問わず、
労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの

つまり、名称に関係なく「労働の対価」であれば賃金に該当します。
そのため、就業規則等で定めのある賞与や退職金も、原則として賃金に含まれる点には注意が必要です。


賃金は現金払いが原則

労働基準法第24条では、賃金は通貨(現金)で支払うことが定められています(通貨払いの原則)。

ただし、この原則にはいくつかの例外が認められています。以下、代表的な4つを確認していきましょう。


賃金支払いの例外①

銀行・証券口座への振込

現在、最も一般的な支払い方法ですが、法律上は以下の条件を満たす必要があります。

  • 労働者の同意を得ていること

  • 労働者が指定する本人名義の口座であること

  • 賃金の全額が、所定の支払日に引き出し可能であること

これらの条件を満たして、はじめて適法な賃金支払いとなります。


賃金支払いの例外②

デジタル払い(資金移動業者の口座)

キャッシュレス決済や送金サービスの普及を背景に、
2023年4月1日から新たに解禁された制度が「デジタル払い」です。

利用するための主な条件

  • 労働者の同意を得ること

  • 厚生労働大臣が指定した資金移動業者であること

現時点で利用可能な事業者

  • PayPay株式会社

  • 株式会社リクルートMUFGビジネス

  • 楽天Edy株式会社

  • auペイメント株式会社

※指定事業者は今後、追加される可能性があります。


賃金支払いの例外③

労使協定に基づく現物支給

厚生労働省の規定により、一定の範囲内であれば
労使協定を締結することで、賃金の一部を現物で支給することが可能です。

主な例は以下のとおりです。

  1. 食事の利益
     社員食堂での無償または低価格での食事提供

  2. 被服の利益
     制服・作業服などの無償または低価格提供

  3. 住宅の利益
     社宅・寮の提供

  4. その他
     通勤定期券、自社製品の支給など


賃金支払いの例外④

退職金の小切手払い

退職金については、労働者の同意があれば、以下の方法での支払いが認められています。

  • 銀行振出小切手

  • 銀行支払保証小切手

  • 郵便為替


まとめ:制度理解とアップデートが重要

①③④は従来からある制度ですが、
②のデジタル払いは比較的新しい制度です。

現在は4事業者のみですが、キャッシュレス化の流れを考えると、
今後さらに拡大していく可能性が高いでしょう。

労働関係法令は毎年のように改正・運用変更が行われています。
法令遵守はもちろん、最新情報を継続的にアップデートしていくことが重要です。

有給休暇の賃金算定方法はどう変わる?

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厚労省「デジタル払い」HP

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

1972年・大阪府生まれ、日本大学経済学部卒業。
「ハローワーク活用7つの鉄則」で中小建設業の採用対策と社員が辞めない労務管理をサポートする社労士。求人営業を約10年、人材派遣を10年以上経験。2009年に職業訓練(建築CAD科)事業を立ち上げ運営も担当、ハローワーク活用の就職支援で約1,000名のCAD技術者を輩出。卒業生の短期離職で、就職支援の限界を痛感。労務管理改善を目指し社労士資格取得。中小建設業の採用難対策から労務管理を行う。建設業の採用をサポートし『20代の採用は10年以上振り』と感謝の声を頂く。若者離れの業界に採用戦略で風穴を開け、従業員の未来ある環境を真剣にサポートしている。

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