人材不足を分析してみる

人材不足の話を企業様からよく耳にします。

また、報道でも人材不足のことが取り上げられる

機会が増えてきました。

今回はそんな人材不足を分析していきます。

大阪の労働データ

以前にもブログで何度も

活用させて頂いておりますが、

大阪労働局から

各種の労働関連のデータが発表されています。

そうです、今回もそのデータを活用しながら

大阪の人材不足の現状を分析
したみたいと思います。

実際に、大阪労働局は様々な

労働関係データを発表しております。

しかし、単体で活用されることが多く、

発表されている資料を複合的に、

比較検討可能なように整理していきたいと思います。

大阪の有効求人倍率

まず、2022年12月度(現時点で最新)の

大阪府下の有効求人倍率を確認してみると

1.30倍という発表
でした。

これは、全職種の平均であり、

個別の職種において大きな差異が発生しています。

人手不足の職種

次に、大阪で一番有効求人倍率が高い

=一番人手不足の職種は何かというと、

土木の職業で有効求人倍率は17.75倍と

本当に売手市場の状況にあります。

以下の順位は、

2位/外勤事務員(15.31倍)

3位/建設躯体工事の職業(13.17倍)

4位/保安の職業(8.02倍)

5位/飲食物調理の職業(5.18倍)

6位/建築・土木技術者(5.04倍)

7位/建設の職業(4.68倍)

8位/製品検査(金属)(4.62倍)

9位/介護サービスの職業(4.45倍)

10位/電気工事の職業(4.3倍)

といった結果です。

その結果は建設業社労士と名乗り、

ゼロコスト採用の専門家として

活動している私の闘争心を掻き立てる結果
です。

まさに、予想どおり建設関連職種が

高い有効求人倍率であり、

人手不足が顕著であるように思えます。

本当に建築業界は人材不足か?

有効求人倍率を単純に倍率で比較すると

1位、3位、6位、7位、10位と建築系職種が

独占する勢いの結果
です。

しかし、有効求人倍率は単純比較するのではなく、

実際の求人数と求職者数に着目することも大切です。

例えば、10,000件の求人に2,000名の求職者で

有効求人倍率は5倍です。

一方、100件の求人に対して20名の求職者でも

有効求人倍率は5倍ということになります。

そして、同じ5倍の場合どちらが採用難易度が高いかというと

10,000件の求人数に対して2,000名の求職者の方が

採用難易度は高くなります。

なぜなら、競争原理で、求人数の多い方が

必然的に競争が激化しやすくなり、

各社が様々な方法で人を確保しようと考える

(給与を高く設定する、労働条件を緩和するなど)からです

建築業界と他業界の比較

それでは、これを今回のランキングに当てはめてみると、

建築系職種の1位、3位、6位、7位、10位を全て足すと

求人数は12,863件、求職者数は1,959名で

有効求人倍率は6.57倍になります。

これに対して5位の飲食物調理の職業は

求人数が16,076件、求職者数が3,102名で

有効求人倍率は5.18倍になります。

同様に、9位の介護サービスの職業は

求人数が20,427件、求職者数が4,586名で

有効求人倍率は4.45倍となっております。

つまり、採用難易度においてこの

建設業、飲食業、介護業の3業界に

殆ど差異がない位の人手不足なのです。

建設業界だけが人手不足という認識は

間違い
ということです。

もうひと工夫いってみよう!

せっかく大阪労働局は様々なデータを

公開して頂いているので、

有効求人倍率の指標だけで見るのではなく、

ここに賃金データを加えてみたいと思います。

飲食物調理の職業

まず、飲食物調理の職業は

ハローワーク募集での

最低賃金月額は215,662円で、

求職者の希望賃金月額は

238,905円で差異は23,243円
です。

介護サービスの職業

次に、介護サービスの職業は

ハローワーク募集での

最低賃金月額は214,117円で、

求職者の希望賃金月額は

213,681円であり差異は▲436円


求職者希望より求人者賃金の方が高い状況です。

建築・土木の職業

最後に、1位/土木の職業の

最低賃金月額は240,923円で、

求職者の希望賃金月額は

284,815円で差異は43,892円、

3位/建設躯体工事の職業の

最低賃金月額は241,236円
で、

求職者の希望賃金月額は282,632円で

差異は41,396円など求人者と

求職者の賃金イメージに大きな差異が

発生しているのです。

建設業界はまず、この差異を無くすことから

スタートすれば対策ができるのに対して、

飲食、介護は賃金では無い対策が必要になります

≪余談≫飲食と同時にコロナ禍の影響で

人手不足が叫ばれているのが販売の職業です。

しかし、有効求人倍率は3.43倍と57職種中18位と

比較的高い水準にありますが、

賃金ギャップをみると最低賃金月額は247,632円で、

求職者の希望賃金月額は319,091円で

差異は71,459円で57職種中1位という結果です。

人材不足まとめ

行政からは本当に様々なデータが発表されています。

そして、そのデータは活用すれば

自分の会社が進むべき方向性を

導き出すツールともなります。

ただし、単純に一つのデータを見ているだけでは

本質にたどり着かないことも多いので、

複数のデータを比較検討して

自社の置かれている状況を見極める必要
があります。

採用効率を上げるコツは、そういった現状を把握し、

自社の状況と比較検討して計画を立てることから

スタート
することになります。

大阪の統計データ/大阪府労働関係調査報告書

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

1972年・大阪府生まれ、日本大学経済学部卒業。
「ハローワーク活用7つの鉄則」で中小建設業の採用対策と社員が辞めない労務管理をサポートする社労士。求人営業を約10年、人材派遣を10年以上経験。2009年に職業訓練(建築CAD科)事業を立ち上げ運営も担当、ハローワーク活用の就職支援で約1,000名のCAD技術者を輩出。卒業生の短期離職で、就職支援の限界を痛感。労務管理改善を目指し社労士資格取得。中小建設業の採用難対策から労務管理を行う。建設業の採用をサポートし『20代の採用は10年以上振り』と感謝の声を頂く。若者離れの業界に採用戦略で風穴を開け、従業員の未来ある環境を真剣にサポートしている。

関連キーワード

関連記事

RELATED POST

この記事へのコメントはありません。

PAGE TOP
MENU
お問合せ