技能実習生の実習実施者に対する
監督指導や送検の状況(令和5年)が
発表されました。
まず、詳細を確認する前に
そもそも技能実習生とは
何かについて説明したいと思います。
技能実習制度とは?
そもそも、技能実習制度とは
国際貢献のための制度です。
そして、開発途上国等の外国人を
日本で一定期間(最長5年間)受け入れ、
OJTを通じて技能を移転する制度です。
つまり、日本の技術を学んでいただき
それを世界に広める社会貢献の制度です。
しかし、海外の安価な労働力を使用できると
勘違いしている経営者がいらっしゃいます。
したがって、政府も技能実習制度廃止を
既に決定しています。
そして、「育成就労制度」を2027年までに
開始する予定となっております。
技能実習の監督指導状況
技能実習違反事業場件数
まず、令和5年に監督指導を実施した
事業場は全部で10,378事業場です。
そして、労働基準法違反が認められた事業場は
7,602事業場と発表されています。
なんと70%オーバーの73.3%の
事業場で法令違反が発生していました。
法令違反事項
では、具体的にどの様な違反があったのかを
確認してみます。
まず、第1位は安全基準違反です。
使用する機械等の安全基準を満たさず
労働安全衛生法違反となっています。
そして、違反の件数は2,447事業場で
違反全体の23.6%に相当します。
次に、第2位は割増賃金の支払です。
そして、違反の件数は1,709事業場で
違反全体の16.5%に相当します。
これは、前述した技能実習制度を
安価な労働力と勘違いしている
ひとつの事例ではないでしょうか。
さらに、第3位は健康診断について
石等からの意見聴取の未実施です。
そして、違反の件数は1,685事業場で
違反全体の16.2%に相当します。
これは、外国人労働者だけではなく
一般従業員に対しても言えるのではないでしょうか。
他にも労働時間/1,527事業場(14.7%)、
年次有給休暇/1,303事業場(12.6%)、
賃金の支払/930事業場(9.0%)など
技能実習を安価な労働力と考えていると思われる
違反内容が目立ちます。
法令違反率
次に業種別の違反率を
確認したいと思います。
まず、第1位は建設業です。
違反率は驚異の80%越えの
80.8%という結果でした。
具体的には1,856事業場中1,500事業場に
法令違反が認められました。
次に、第2位は農業・畜産業です。
こちらも違反率は80%迫る勢いの
79.7%という結果でした。
具体的には423事業場中337事業場に
法令違反が認められました。
まとめ
皆さんはこの数字を見て
何を感じますでしょうか?
筆者は社会保険労務士として
なんだか悲しい気持ちになりました。
技能実習制度は途中帰国が
基本的に認められていません。
つまり、遠い国から来た労働者が
帰国もせずに異国の地で頑張っています。
しかし、その受け入れ国である日本で
70%を超える事業場で法令違反が
認められる残念な結果です。
ぜひ、次の「育成就労制度」では
こういったことが少しでも減るように
社会保険労務士として活動していきます。
外国人労働者活用の有効性
厚生労働省「技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況」資料
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