法律を読み解くのに必要なこと

法律と聞くとそれだけで拒否反応を

示す人もいらっしゃるかもしれません。

今回は法律を確認するときの

ルールについて記載したいと思います。

法律を読み解く基本

建設業社労士と名乗らせて頂いているくらいなので、

実は私、社会保険労務士です

(時々、自分で言っておかないと、

ただの強面のおっさんだと思われてしまうので)。

そういった経緯で、ブログの中で

時々法律に関するお話をするときがあります。

この法律ですが、時々理解に苦しむときってありませんか?

私も法律を勉強しだした頃に、

とある資格の学校で講師の先生から教えて頂き、

その後の理解に大いに役に立ったことがあるので

そんな内容を書いていきたいと思います。

法律には優先順位が存在する

法律の順位

様々な法律が存在しますが、

そこには順位が設定されています。

具体的には

①憲法>②条約>③法律>④法規命令>⑤地方公共団体による条例など

といった段階構造
になっており、

下位の内容は上位の決定に反しない内容となり、

下位に行くほど詳細な規定が設けられております。

①憲法

国家の基本秩序を定める根本規範。

統治体制、権利義務などを定めている。

②条約

国際法上で国家間

(国際連合等の国際機関も締結主体となり得る)

で結ばれる成文法であり、

日本国が同意しているものは公布され、

国内では法律より優先する。

③法律

国会の議決(衆・参両議院で可決)を経て制定される。

(憲法、条約につぐ効力を持つ国法)

④法規命令

行政機関が定める法。

原則として命令の中では、

政令が上位にあり、他の命令は相互に対等である。

政令

憲法及び法律の規定を実施するために、

内閣が閣議決定で制定する命令(~法施行令)。

政令には、特にその法律の委任がある場合を除いて、

罰則を設けることはできない。

府令

内閣総理大臣が主任の行政事務について、

発する命令(~を定める内閣府令)

省令

その法律を主管する省庁の

大臣が定めて発する命令(~法施行規則)

規則

府省の外局である庁の長、

同じく府省の外局である行政委員会

人事院、会計検査院が定める命令。

国家公安委員会規則、人事院規則、

会計検査院規則など、名前は「規則」だが、命令の一種。

庁令

省の外局である庁の長が発する命令。

現在は、海上保安庁令のみ。

海上保安庁令は、海上保安庁法に基づき、

海上保安庁長官が発する命令である。

⑤地方公共団体による条例など

条例

地方自治体の議会の決議を経て制定される。

(当該地方公共団体内でのみ適用)

条例は法令の範囲内で制定されるが、

「上乗せ条例(規制)」、

「横だし条例(規制)」などがある。

規則

地方公共団体の長の発する命令

(主として手続関係を定める)

議会の決議を必要としない。

要綱

議会の議決なく役所の立場で決めたもの(強制力なし)。

一般に行政指導といわれるもの(~の手引、~規定、~要領、~基準など)。

例規

議会の議決なく役所の立場で決めたもの

(法の解釈や運用を定めている)。

法の運用基準(自治体等における、

条例や規則等の総称であり、「例規集」と表現する。)

一般法と特別法

法律には一般法と特別法が存在します。

まず、一般法とは、

一般法とはその分野に対して

一般的に適用される法であり、

特別法がない限り

その法律が適用される法律とです。

次に、特別法とは、

適用対象がより特定されている

法律が存在します。

そして、特別法は一般法に

優先して適用される
ことになります。

具体例/労働契約法では

「有期契約を更新して

5年以上の契約を繰り返した場合、

労働者の申出により

無期雇用に転換しなければならない。」

とされています。

しかし、「派遣法では同一労働者を3年を越えて

同部署に派遣してはならない。」

という規定が設けられています。

労働契約法では労働者を5年間は

雇用できるような文言であり、

派遣法では3年までしか

派遣(雇用)ができないと解釈できます。

なぜなら、労働契約法が「一般法」であり、

労働者派遣法が「特別法」になるので、

労働者派遣においては労働者派遣法が

適用されて派遣期間は3年までという

解釈をしなければなりません。

旧法と新法

法律は毎年のように改正されており、

法改正されたときには施行日が設定されており、

その日より改正された法律(新法)が

適用されることになります。

したがって、施行日前までは旧法が適用され、

施行日以降は新法が適用
されることになります。

では、新法の一般法と旧法の特別法では

どちらが優先されるのでしょう?

これは旧法の特別法が優先されます。

したがって、前項の例で労働契約法が改正されたとしても、

派遣労働者の場合は労働者派遣法が優先して適用されます。

まとめ

法律は段階構造になっているのと同時に

一般法と特別法が存在しており、

法律を単独で読み解いても

理解できないことがあります。

したがって、何を優先して適用すべきかを

理解していないと余計に混乱する
ことがあります。

つまり、「この法律がこうなっている」

「法律でこう書いてある」といったことが

通用しないケースが存在しないことも覚えておきましょう。

労働基準法を第一条だけで読み解く

労働基準法を第一条だけで読み解く

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ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

1972年・大阪府生まれ、日本大学経済学部卒業。
「ハローワーク活用7つの鉄則」で中小建設業の採用対策と社員が辞めない労務管理をサポートする社労士。求人営業を約10年、人材派遣を10年以上経験。2009年に職業訓練(建築CAD科)事業を立ち上げ運営も担当、ハローワーク活用の就職支援で約1,000名のCAD技術者を輩出。卒業生の短期離職で、就職支援の限界を痛感。労務管理改善を目指し社労士資格取得。中小建設業の採用難対策から労務管理を行う。建設業の採用をサポートし『20代の採用は10年以上振り』と感謝の声を頂く。若者離れの業界に採用戦略で風穴を開け、従業員の未来ある環境を真剣にサポートしている。

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