就職氷河期世代の雇用

就職氷河期世代の雇用に対して助成金が設定されました。

皆さんは政府のこの対策をどの様にとらえていますか?

就職氷河期世代

バブル経済崩壊後の雇用環境が厳しい時期、

平成5年(1993年)~平成16年(2004年)頃に

就職活動を行っていた方々を就職氷河期世代と言います。

これを、もう少し限定的に説明をするならば、

昭和43年(1968年)4月2日~昭和63年(1988年)4月1日の間に生まれて、

当該期間に就職活動を行っていた方々
ということになります。

就職氷河期

この就職氷河期と言われる時代ですが、

どれ位就職が厳しかったかについて説明したいと思います。

その前提として筆者はちょうど就職氷河期世代であり、

筆者の兄は就職氷河期直前の世代に該当するので、

その実例を比較していきたいと思います。

当時の就職活動

まず、この当時はインターネットが普及する前でしたので、

現在の様にインターネットを活用して募集企業を検索し、

インターネット経由でエントリーシートを提出するような

就職活動スタイルではありませんでした。

実際、リクルートなどから募集企業が記載された冊子とハガキが送付され

(当時は高校の卒業生名簿や大学の名簿など、普通に名簿が売買されていました)、

そして、そのハガキを使用して資料請求することから就職活動が開始され、

履歴書や場合によっては作文などを郵送し、

書類選考が行われ、

面接やグループディスカッションなどを数回行い内定が出される
といった感じでした。

冊子とハガキの束

では、就職氷河期前後でこの冊子とハガキの束に

どれ位の違いがあるかというと、

兄は理系で筆者は文系だったので単純比較はできませんが、

兄には企業の募集冊子が5冊位でワンセットになった箱が

5~8セット(25冊~40冊)位送付
されてきており、

その全てに資料請求用のハガキが添付されていました

(30年以上前の話なのでもう少し多かったかもしれません)。

一方バブル経済崩壊後の筆者が就職活動をするタイミングで送付されてきた

冊子は1~2冊(1冊のページ数も明らかに兄の時よりも少ない)程度でした。

それ位、新卒を募集する企業が少なくなっており、選択肢も極端に少なくなった時代でした。

情報量以外の違い

前項で募集企業数の違いは理解頂いたかと思いますが、

それ以外にも様々な違いがありました。

例えば兄の時代に面接などで企業に伺うと、

ほぼ全ての企業からお足代として当時のJRプリペイドカードであるオレンジカードを受領する、

直接現金を受領する
ようなケースもありました。

一方、筆者は就職活動を通してお足代を頂いたのは1回だけでした。

また、当時は就職協定の中で企業が内定を出すのは10月1日(日程が間違っていたらすみません)であり、

複数社からの内定を阻止するために拘束旅行(内定対象者に対して10月1日を含む日程で旅行に招待し、

他企業からの内定を受領できないようにする)なども行われていました。

当然のことながら筆者の時代に周囲でも拘束旅行に行ったという記憶はございません。

特定求職者雇用開発助成金

前述の通り、就職氷河期世代といわれる時代はその前と比較すると

就職に関する選択肢が極端に少なく、

不本意な就職をせざるを得ない人も多く、

就職をしない、正規雇用ではなく非正規雇用を選択する

といったことも少なくありませんでした。

そこで、行政はその対策として

特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)を創設して、

この就職氷河期の影響で不本意な選択をした人々を救済する措置をとっているのです。

この助成金は一定の条件(条件の詳細はこちら※厚生労働省のHP)を

満たす求職者を正規雇用することで、

雇い入れた企業に対して助成金が支払われる仕組みになっております。

派遣労働者との親和性

そして、前述の特定求職者雇用開発助成金と親和性が高いのが派遣労働者ではないでしょうか?

企業としても昭和43年(1968年)4月2日~昭和63年(1988年)4月1日という幅広い年代に生まれた方を

いきなり正規雇用するのはハードルが高いと思います。

そこで、派遣というシステムを活用することで、

一定期間は非正規労働者として一緒に仕事を行い、

本人の適性を見て正規採用することでミスマッチのリスクは低減されます。

この話だけを聞くと採用企業に都合よく思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、

求職者サイドにもミスマッチのリスクはあります。

実際に、職業訓練を卒業してせっかく就職をした方々も

このミスマッチにより短期退職しているケースも少なくありません。

従って、一定期間を一緒に仕事することでミスマッチを防ぐことは採用企業、

求職者にもメリット
があるのです。

就職氷河期世代まとめ

就職氷河期世代は不本意な就職をした人が多くいらっしゃるのも事実です。

行政はそのことを理解した上で、

助成金という方法で求職者と採用企業をバックアップしているので

これを活用すべきだと思います。

更に雇用のミスマッチを低減させるために

その前ステップに派遣というシステムを活用
する

ことも有効な手段となり得ることも頭の片隅に留めて頂ければ幸いです。

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ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

1972年・大阪府生まれ、日本大学経済学部卒業。
「ハローワーク活用7つの鉄則」で中小建設業の採用対策と社員が辞めない労務管理をサポートする社労士。求人営業を約10年、人材派遣を10年以上経験。2009年に職業訓練(建築CAD科)事業を立ち上げ運営も担当、ハローワーク活用の就職支援で約1,000名のCAD技術者を輩出。卒業生の短期離職で、就職支援の限界を痛感。労務管理改善を目指し社労士資格取得。中小建設業の採用難対策から労務管理を行う。建設業の採用をサポートし『20代の採用は10年以上振り』と感謝の声を頂く。若者離れの業界に採用戦略で風穴を開け、従業員の未来ある環境を真剣にサポートしている。

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