人口100人でみた日本というのを
厚生労働省が発表しているのをご存じでしょうか?
厚生労働白書
仕事柄、厚生労働省や労働局のホームページを確認したり、
各発表資料に目を通すように凍頃掛けているのですが、
今回はその中から厚生労働白書について
スポットを当ててみたいと思います。
まず、厚生労働白書と聞くと
堅いイメージを持つ方もいらっしゃると思います。
確かに、目次タイトルこそ
「第2章 働き改革の推進などを通じた労働環境の整備など」
と少し軟らかめに記載されているのですが、
その各項目に目をやると
「1 非正規雇用の現状と対策」といったお堅い内容が続きます。
そして、そんなお堅い内容が485頁(令和4年度版)まで続くのですが、
その後に「人口100人でみた日本」という
実にわかりやすい資料が掲載されているのです。
(語弊が無いように、厚生労働省のHP上では
「人口100人でみた日本」は別リンクでも設定されています)
人口100人でみた日本
実際の資料が下記の2枚になります。
めっちゃ!わかりやすい!行政が作成したとは
思えないようなわかりやすさだと思います。
例えば、日本の人口を100人としたときに
65歳以上の方が28.9人ということは
高齢者率28.9%ということで
超高齢社会といわれる基準の21%を大きく上回っており、
日本の高齢化を一目で確認することが可能です。
ちなみに、14%超で高齢社会、7%超で高齢化社会
というのがWHOの基準となります。
そして、少子化も小学生~大学生を足すと12.3人と
65歳以上の半分以下の人数しか存在していないことも
簡単に理解することができます。
「労働について」をクローズアップ
これも日本の総人口に対する労働力人口と
失業者の関係を考えると整合性もとれており
納得のいく数字です。
でも、ところどころ?と思うところがあります。
仕事についている人は53.5人、
雇われているのは47.9人、
自営しているのは4.2人となると
1.4人の方は何しているの?
※失業率と数字が一致しない
雇われているのは47.9人、
正社員が28.7人、
パートが8.2人、
アルバイトが3.5人、
派遣が1.1人、
契約社員・嘱託が3.1人
となると3.3人はどんな働き方をしているの
(フリーターはアルバイトに含めて計算)?
数字のマジック
母数を小さくしてしまうと気が付きにくくなるのですが、
この「人口100人でみた日本」の母数は
そもそも日本の総人口です。
つまり、1億2463万人(令和5年2月概算値)です。
前項で発生した差異、仕事はしているが雇われてもなく、
自営でもない正体不明の人数は
1.4%×1億2463万人=1,744,820人いらっしゃるのです
(※会社役員はこの統計上は雇われている人に入っているはずです。)。
そして、雇われているが雇用形態不明の人が
3.3%×1億2463万人=4,112,790人いらっしゃるのです
(※期間社員、準社員などの名称の如何を問わず、
契約期間が設定された社員は契約社員に入っているはずです。)。
では、この500万人超の方たちはどこに消えてしまったのでしょう?
参考/令和4年版にはバックデータは記載されていませんが、
平成23年版まで遡るとバックデータが
エクセルファイルで添付されています。
その中を確認するとデータ労働力調査詳細集計より
算出したものであることは理解できますが、
上記の様な詳細はやはり不明です。
意外と多い数字のマジック
この様な数字のマジックは統計データではよくあります。
以前に有効求人倍率については
「大阪を例に有効求人倍率を解説します。」
「真・大阪事例での有効求人倍率活用!」
といった記事でも触れてきました。
その中で、製造技術者と船舶・航空機運転の職種でも
比較したのですが、
有効求人倍率が同じくらいの数字だったとしても
実際の求人数と求職者数を考慮すると
その採用難易度は格段に差があります。
まとめ
行政は非常に多くの統計データを収集しており、
そしてその内容をHPなどを通じて発表して頂いております。
これは、活用方法も多岐にわたり、
業界などの分析を行うときにも
非常に役立つ内容ではあります。
しかし、安易に全てのデータを
鵜呑みにしてしまうと思わぬ落とし穴があることも
理解しておきましょう。
データを使用するときは
そのデータがそもそも何を表しており、
どういった要素から構成されているかを掴んでおく必要があります。
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