就職差別撤廃月間

大阪では就職差別撤廃月間が6月に設定されています。

皆さん、ご存じでしたか?

大阪府の発表

昭和50年11月、「部落地名総鑑」

(同和地区の名称や所在地、戸数、主な職業などを記載した書籍)

が売買されている事件が発覚し、大きな社会問題になりました。

大阪府では、この事件を契機としてすべての職場、

すべての企業から就職差別を解消するため、

全国に先駆け昭和57年から本月間を設けています。

毎年6月は、ハローワークにおいて

新規学卒求人票の受理が始まることから

各種啓発活動を集中的に展開します。

期間中は、「就職差別110番」と題し、

メールでの相談に加え、電話による相談も受け付けます。

(大阪府HPより抜粋)

就職差別とは?

就職差別とは採用者である企業が

応募者の能力・資質・適性などとは関係ない事項で、

特に本人の責任ではない事項で採否を決定すること
です。

具体的には応募者の

出身地(事例/〇〇地区の出身者は全体的に柄が悪いから採用を控えよう)

家族構成(事例/シングルマザーは子供が病気の時に休むことが多いから不採用にしよう)

親の職業(事例/〇〇さんの父親はメガバンクで就業しているので採用しよう)

家柄(事例/〇〇家出身の方なら人格的に問題ないだろうから採用しよう)

などによって採否を決定することです。

こういった本人の責任でない事項は本人の努力では変えることが難しく、

そして仕事を遂行する能力とは関係のない事柄で決定していることになります。

就職差別の弊害

新卒採用であれ中途採用であれ、就職とは応募者にとっては一大イベントであり、その方の一生を左右するような出来事であることは間違いありません。日本国民は働くことで生活の糧を得て、それを原資として自分のみならずその家族の生活を支えていくことになります。その一生を左右する採用選考の場面で、本人の資質や能力とは関係のない事柄でその人の一生が決定されることは応募者の基本的人権を無視する行為となるからです。それでなくても就職の採用選考で不採用を通知された応募者は自分の人格が否定された気持ちになることも少なくないのに、自分ではどうしようもないことで不採用が決定してしまったときのショックは計り知れません

公正採用選考人権啓発推進員制度

前述の就職差別が発生しないように、

大阪府では公正採用選考人権啓発推進員制度として

常時使用する従業員数が25名以上の事業所、

個人情報を事業として多く取り扱うことがある事業を行っている事業所は

25名未満だったとしても公正採用選考人権啓発推進員の選任を推奨されています。

そして私も実はこの推進員です。

ではこの推進員の役割は何かと言うと、

企業内で公正な採用が行われるように採用選考のシステムを確立することや

企業での採用選考が公正なものとなるように旗振り役を務め、

必要に応じてハローワークや労働局との連携窓口としての役割を担っています

公正採用選考の注意点

就職差別で出身地、家族構成、親の職業、家柄などで

採否を決定してはいけないと聞いても

多くの企業では関係ないと思うかもしれません。

しかし、実際には

エントリーシートに本籍(出身地)の記載欄を設けている

面接の質問で家族構成を確認している

事前に作文などで出身や家族構成にまつわる題材で提出させている

面接で両親の仕事を確認している

といったことも就職差別につながる可能性があるので注意が必要になります。

まとめ

昔は「部落地名総監」の様な書籍が売買されているなど

本当に就職差別になるような事項が多発していました。

現座では以前と比較すると

露骨な就職差別は減少傾向にあるかもしれませんが、

シングルマザーなどの家族構成や性別に関するような

就職差別は依然として残っています

繰り返しになりますが、不採用の通知は

応募者に大きな精神的ダメージを与えることは事実です。

そして、その不採用理由が

自分ではどうしようもないことであった場合の

精神的ダメージは計り知れません。

6月は大阪では就職差別撤廃月間になっていますので、

これを機に公正採用について自社の採用を再確認してみては如何でしょう?

採用選考で注意すべきこと-面接でのNG質問

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

1972年・大阪府生まれ、日本大学経済学部卒業。
「ハローワーク活用7つの鉄則」で中小建設業の採用対策と社員が辞めない労務管理をサポートする社労士。求人営業を約10年、人材派遣を10年以上経験。2009年に職業訓練(建築CAD科)事業を立ち上げ運営も担当、ハローワーク活用の就職支援で約1,000名のCAD技術者を輩出。卒業生の短期離職で、就職支援の限界を痛感。労務管理改善を目指し社労士資格取得。中小建設業の採用難対策から労務管理を行う。建設業の採用をサポートし『20代の採用は10年以上振り』と感謝の声を頂く。若者離れの業界に採用戦略で風穴を開け、従業員の未来ある環境を真剣にサポートしている。

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