固定残業手当(みなし残業手当)に注意!

固定残業手当とは?

職場によっては、

実際の残業時間に関わらず、

毎月一定の額を固定残業代として

支払っているところもあります。

そして、こういった残業手当は

固定残業手当(みなし残業手当)

と呼ばれています。

もちろん、実際の労働時間に見合う残業代が、

固定残業代を上回っているにも関わらず、

差額分を支払わない場合は、

労働基準法違反(賃金不払い)
となります。

また、固定残業手当を導入する場合、

事業主は、基本給と残業代を区分けして、

何時間の残業に見合う残業代が

いくら支払われるのかについて、

しっかりと労働者に明示しておく必要があります。

時間外割増率のおさらい

時間外労働、休日労働、深夜労働については

法令で定められた一定の割増率以上で算定した

割増賃金を支払わなければなりません。
時間外労働

1日8時間及び1週40時間を

超える労働については2割5分以上、

月60時間を超える時間外労働については

中小企業は2023年4月1日以降

5割以上の割増率です。
休日労働

法定休日(毎週1日以上、または4週4休で定められて休日)における

労働については3割5分以上の割増率です。
深夜労働

午後10時から午前5時までの労働については

2割5分以上の割増率です。

また、深夜に時間外労働をさせて場合、

休日に深夜労働をさせた場合については、

それぞれの割増率を足し合わせた

割増率が適用されます。

※休日の時間外労働(1日8時間超)については

割増率を足し合わせる必要はありません。

最低賃金改正で違法状態に

現在の大阪の最低賃金は992円、

2022年10月1日の改正見込みが

1023円となっております。

※ここからちょっと数字が多くなるので

苦手な人は読み飛ばしてね!

例えば、1カ月の所定労働時間160時間

(目安として土日祝休みの1日8時間勤務)の

労働者の給与を月額185,000円で

固定残業手当20時間分を込みとします。

すると、基本給部分160,000円、

固定残業手当25,000円となります。

そして、今回の最低賃金改正で、

大阪府の最低賃金見込み額

1023円で再計算してみると、

勤務160時間×1023円=163,680円となるので、

185,000円払っているから大丈夫!と

勘違いされている方が時々いらっしゃいます。

固定残業代を計算すると163,680円の基本給に

25,575円の固定残業手当が必要になるので、

実際には189,255円以上の

月額賃金を支払う必要があります。

前述の通り、差額分を支払わない場合は、

労働基準法違反(賃金不払い)となってしまいます。

改めて注意喚起!

このように、当社は月額の支払額から考えれば大丈夫と

思い込んでいる企業こそ危ないと思っておいて下さい。

そして、知らず知らずに労働基準法違反と

なってしまうケースが発生します。

特に〇〇手当という手当を支給していて、

総額月額〇〇円としている会社は要注意
です。

なぜなら、基本給の計算は

額面総額-各種手当=基本給ですので、

固定残業手当だけではなく、

他の手当も同様に知らずに

労働基準法違反となるケースがあるからです。

まとめ
現在就業中の方へ

まず、2022年10月度の給与明細は

絶対にチェックしてください。

なぜなら、最低賃金の改正は2022年10月1日より

改正されることが多いです。

特に締め日がこの日を跨いでいるケース

(15日締め、25日締め)
は、

2022年10月1日が含まれる

前後の月で比較してみることも必要です。

企業担当者の方へ

その当時は従業員の為にと設定した

〇〇手当や今回のような固定残業手当が、

意図せずあなたの会社を労働基準法違反の状態へと

導いてしまうケースもあり得ます。

一度、専門家に相談してみてはどうでしょう?

固定残業手当と60時間超時間外労働の関係

固定残業手当と60時間超時間外労働の関係

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ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

1972年・大阪府生まれ、日本大学経済学部卒業。
「ハローワーク活用7つの鉄則」で中小建設業の採用対策と社員が辞めない労務管理をサポートする社労士。求人営業を約10年、人材派遣を10年以上経験。2009年に職業訓練(建築CAD科)事業を立ち上げ運営も担当、ハローワーク活用の就職支援で約1,000名のCAD技術者を輩出。卒業生の短期離職で、就職支援の限界を痛感。労務管理改善を目指し社労士資格取得。中小建設業の採用難対策から労務管理を行う。建設業の採用をサポートし『20代の採用は10年以上振り』と感謝の声を頂く。若者離れの業界に採用戦略で風穴を開け、従業員の未来ある環境を真剣にサポートしている。

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