クイズで学ぶ障害者雇用の現状

毎年9月は障害者雇用促進月間です。この期間中、厚生労働省や都道府県と協力し、障害者の職業的な自立を支援するため、さまざまな啓発活動が展開されています。

今回は、障害者雇用の実態をクイズ形式で分かりやすく解説します。

 

第1問:法定雇用率

従業員が一定数以上の事業主は、従業員に占める障害者の割合を「法定雇用率」以上にすることが義務付けられています。

2025年8月25日現在の民間企業の法定雇用率は何パーセントでしょう?

A. 2.0%(50名に1名)

B. 2.2%(約45名に1名)

C. 2.3%(約43名に1名)

D. 2.5%(40名に1名)

解説 障害者の法定雇用率は段階的に引き上げられており、2024年以降は2.5%になりました。さらに、2026年7月には2.7%(約37名に1名)への引き上げがすでに決定しています。

答え:D/2.5%(40名に1名)


第2問:障害者雇用の内訳

令和6年度の調査では、民間企業に雇用されている障害者の総数は677,461.5人でした。

このうち、精神障害者の雇用人数は何人でしょう?

A. 130,298.0人

B. 150,717.0人

C. 157,795.5人

D. 368,949.0人

解説 令和6年度の調査では、精神障害者の雇用数は前年比で15.7%増加しました。ちなみに、選択肢Cの157,795.5人は知的障害者、選択肢Dの368,949.0人は身体障害者の雇用人数です。

答え:B/150,717.0人


第3問:障害者雇用納付金

常時雇用している労働者の総数が100人を超える事業主で、法定雇用率を達成できていない場合、障害者雇用納付金を納める必要があります。

この納付金は、不足している障害者1人につき、月額いくらになるでしょう?

A. 27,000円

B. 29,000円

C. 50,000円

D. 300,000円

解説 選択肢AとBは、法定雇用率を超えて障害者を雇用している事業主に支払われる障害者雇用調整金です。金額は2024年4月に29,000円に引き上げられました。

答え:C/50,000円


第4問:公的機関の障害者雇用

公的機関にも法定雇用率が設定されており、民間企業よりも高い2.7~2.8%となっています。

令和6年度において、法定雇用率を達成できていなかった公的機関はどこでしょう?

A. 国の機関(法定雇用率2.8%)

B. 都道府県の機関(法定雇用率2.8%)

C. 市町村の機関(法定雇用率2.8%)

D. 独立行政法人等(法定雇用率2.8%)

解説 令和6年度の実雇用率は、国の機関が3.07%、都道府県の機関が3.05%、独立行政法人等が2.85%で、いずれも法定雇用率を達成しています。一方、市町村の機関の実雇用率は2.75%と未達成でした。また、都道府県の教育委員会も、法定雇用率2.7%に対し実雇用率2.43%で未達成となっています。

答え:C/市町村の機関(法定雇用率2.8%)


まとめ

日本では、障害者の就業率に関する統計は存在しないため、ハローワークでの障害者の求職者数がその代理指標として使われています。

令和6年度の障害者の新規求職申込件数は268,107件でしたが、就職件数は115,609件にとどまり、半数以下という厳しい現状が見えてきます。障害者の雇用は健常者と比べると、依然として困難な状況にあるといえるでしょう。

この機会に、民間企業の皆さまにも障害者雇用の促進を検討していただければ幸いです。

もにす認定(障害者雇用優良中小事業主認)制度

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ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

1972年・大阪府生まれ、日本大学経済学部卒業。
「ハローワーク活用7つの鉄則」で中小建設業の採用対策と社員が辞めない労務管理をサポートする社労士。求人営業を約10年、人材派遣を10年以上経験。2009年に職業訓練(建築CAD科)事業を立ち上げ運営も担当、ハローワーク活用の就職支援で約1,000名のCAD技術者を輩出。卒業生の短期離職で、就職支援の限界を痛感。労務管理改善を目指し社労士資格取得。中小建設業の採用難対策から労務管理を行う。建設業の採用をサポートし『20代の採用は10年以上振り』と感謝の声を頂く。若者離れの業界に採用戦略で風穴を開け、従業員の未来ある環境を真剣にサポートしている。

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