労働者代表の選出を
年中行事に設定している
企業も少なくないと思われます。
今回はその選出について
記載していきたいと思います。
年末・年度末の恒例行事
今年も残すところ数日となってまいりました。
年末の恒例行事といわれるものは
会社によっても様々存在していること思われます。
今回は人事的に年末もしくは年度末の恒例行事として
労働者代表の選出としているケースがあります。
これは非常に良いことで、
労働者代表は法律上には
期限は設定されていません。
しかし、労働者の意見を反映させるためには
長期間にならない方がベターとされています。
労働者代表の役割
具体的に労働者代表の役割とは
どういったものなのでしょうか?
それは読んで字のごとく、
その会社で勤務する労働者の
代表であることは間違いありません。
では、代表としてどの様なことを
実施しなければならないかというと、
労働者の団体意思を取りまとめて
事業主に提言をする役割を担います。
具体的には就業規則作成・変更するときには
労働基準法第90条によって、
使用者は、就業規則の作成又は変更について、
当該事業場に、労働者の過半数で組織する
組合がある場合においてはその労働組合、
労働者の過半数で組織する
組合がない場合においては
労働者の過半数を代表する者の
意見を聴かなければならないと定められています。
この様に会社のルールなどの変更により
労働者への影響を与えるような場面
(残業に関する協定である36協定など)では
労働者代表の意見を聴く場面が多く発生します。
労働者代表の任期
皆さんの会社では労働者代表の任期を
どれ位の期間で設定されていますか?
一般的には36協定などが1年単位なこともあり、
1年で区切っている会社が多いと思います。
しかし、法律上、任期については
設定がされておらず、
必ずしも1年である必要はありません。
《余談》私は社労士でありながら
派遣会社の派遣元責任者でもありますので、
派遣会社の場合は労働者代表の任期は
1年より大幅に長く、2年単位などにすることはできません。
なぜなら、労働局に確認をしたところ
、現在の派遣事業において
派遣先均等均衡方式or労使協定方式での
運用が求められています。
詳細はおいておきまして、
労使協定方式(90%以上の派遣会社採用している方式)を採用する場合、
あまり長い単位で選出を実施すると、
派遣労働者の意見が労使協定に反映されているとは
言えなくなることから認められません。
労働者代表の選出
今日のメインはこのパートになります。
この労働者代表の選出ですが、
こんなことやっていませんか?
鶴の一声
社長が「〇〇さん今年もよろしくね」
といった鶴の一声で労働者代表を
決定していませんでしょうか?
労働者代表の選出には
投票や挙手の他に、
労働者の話し合いや
持ち回り決議などでも
構わないとされています。
しかし、労働者の過半数が
その人の選任を支持していることが
明確になる民主的な手続きが必要になります。
したがって、この様に社長や会社が
指名した選出は無効になります。
自動信任方式
社内通達やメールなどを活用して
「〇月〇日までに返事がなかった
従業員については信任したものとみなします。」
といった文章を従業員に伝え、
その日までに連絡がなかったので
全員が信任したものとみなすやり方です。
このケースでは一般的に、
労働者の過半数が選任を支持していることが
必ずしも明確にならないものと考えられます。
したがって、無効と判断される場合もあります。
無効になったらどうなるの?
そもそも正しい手続きで選任せず、
就業規則の作成・変更、
残業に関する労働協定である36協定に
署名・捺印してあったとしても、
選任方法が不適切である以上、
その労働者代表はその地位を
得たことにはなりません。
つまり、就業規則の作成・変更も
36協定も無効ということになります。
さらに、36協定が無効の状態で
従業員に残業をさせると
労働基準法違反となります。
まとめ
過半数で組織する労働組合が
存在している会社は問題ありません。
しかし、労働者代表を選出して
労使協定を締結している場合には、
まず正しい手続きで選出することが
大切になります。
特にインターネットの発達した現在では
ネット投票など様々な方法で
投票を受け付けることができます。
そして、基本的には年に1回の
恒例行事としてしまい、
毎年労働者代表を選出するようにしていきましょう。
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