厚生労働省は毎月、労働災害の発生状況を発表しています。
今回は令和7年1月~7月のデータを基に、業種別・災害内容別・地域別の傾向と注意点を整理し、社労士目線での予防策も解説します。
労働災害の発生件数
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死傷災害(全国):64,612件
業種 | 発生件数 |
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第三次産業 | 33,301件 |
製造業 | 13,086件 |
陸上貨物運送 | 7,826件 |
建設業 | 6,455件 |
交通運輸業 | 1,673件 |
👉 第三次産業(小売・飲食・介護など)が全体の約半分を占めています。
死亡災害の発生状況
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死亡災害(全国):363件
業種 | 発生件数 |
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建設業 | 120件 |
第三次産業 | 93件 |
製造業 | 62件 |
陸上貨物運送 | 42件 |
農業・畜産・水産業 | 20件 |
👉 死傷災害では第三次産業が最多でしたが、死亡災害は 建設業が最多 です。高所作業や重機の使用など、致命的リスクが伴う業種ならではの傾向です。
災害内容別の発生状況
死傷災害(主な原因)
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転倒 19,147件
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墜落・転落 9,911件
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動作の反動・無理な動作 9,565件
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はさまれ・巻き込まれ 6,550件
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切れ・こすれ 3,568件
死亡災害(主な原因)
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墜落・転落 95件
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はさまれ・巻き込まれ 62件
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交通事故(道路) 61件
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激突され 39件
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崩壊・倒壊 26件
👉 墜落・転落 は死傷・死亡どちらでも上位に位置し、最も重点的な対策が必要です。
都道府県別の傾向(死亡災害)
都道府県 | 発生件数 |
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北海道 | 31件 |
東京 | 22件 |
神奈川 | 20件 |
大阪 | 19件 |
千葉 | 18件 |
👉 北海道が最多となった背景には、
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林業の多さ → 墜落・転落災害につながる
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商業・清掃業での雪の影響 → 転倒災害の増加
といった地域特性があります。
社労士目線の予防策
労働災害の再発防止には、業種や地域の特性に応じた取り組みが不可欠です。
1. 墜落・転落対策(建設業・林業)
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足場の点検・安全帯の着用を徹底
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高所作業前にKY(危険予知)活動を実施
2. 転倒防止(第三次産業・北海道地域)
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店舗や施設の床面に滑り止めマットを設置
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降雪・凍結時の除雪・融雪作業をマニュアル化
3. はさまれ・巻き込まれ対策(製造業)
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機械の安全装置を常時作動状態に保つ
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作業服・手袋の適切な着用ルールを徹底
4. 交通事故防止(運送業)
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運転前点呼とアルコールチェックを徹底
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運転記録データの分析による安全指導
まとめ
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死傷災害は 第三次産業 が最多、死亡災害は 建設業 が最多。
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内容別では 墜落・転落災害 が最大のリスク。
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北海道では地域特性(雪・林業)による災害が多い。
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会社ごとに 業種・地域のリスクに応じた安全対策 を進めることが重要。
👉 まずは 死亡災害ゼロ、次に 死傷災害ゼロ を目指して、労働者が安心して働ける環境づくりを進めていきましょう。
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