練習通りの志望動機より、素直な一言が光った瞬間

■ 面接に立ち会って

先日、高校3年生の就職面接に立ち会う機会がありました。
今回は、その時に行った質問内容や生徒の返答を実例として紹介しながら、面接で感じた気づきをお伝えします。


■ 最初の質問:「学生生活で一番楽しかったことや注力したことは?」

面接の最初に、私は次の質問をしました。

「学生生活で一番楽しかったことや注力したことは何ですか?」

この質問を最初にした理由は、その生徒の興味の方向性を知るためです。

生徒の返答はこうでした。

「高校3年生の時に〇〇の大会に参加したことです。チームみんなで取り組んだ結果、大会で2位に入賞しました。」

そこでさらに掘り下げて、

「では、あなたはチームでどのような役割でしたか?」
と質問しました。

すると生徒は少し照れながら、

「正直、事前準備も顧問の先生に助けてもらいましたし、本番では僕の役割はなく、全力で応援していました。」
素直な返答がありました。

この一言で、その生徒の正直な部分やチームワークへの取り組みの一面が伝わってきました。


■ 欠席日数への質問

次に、内申書を確認していて気になった点を質問しました。

「2年生の時に休みが〇日あるけど、何かあったのですか?」

すると、生徒は少し戸惑いながらも、

「いや~、学校に行きたくない時期もあって…」
と答えました。

少し答えづらい質問だったようです。
そこで私は助け舟を出すように、

「うってかわって、3年生の時は〇日しか休んでないですね?」
と声をかけました。

すると、生徒は明るい表情を取り戻して、

「このままではヤバいと思い、心を入れ替えて学校に通うようにしました!」
と力強く話してくれました。

このやりとりだけでも、社会人を意識する成長や改善しようとする心が伝わります。


■ 志望動機の確認

面接の終盤には、定番の「志望動機」を質問しました。

「御社の見学に来た時に〇〇の説明を受け、私も子どものころからものづくりに興味があり、そういった仕事に取り組みたいと思いました。」

練習の成果もあって、しっかりした返答です。
その後、少し雑談を交えながら、次のようなやりとりをしました。

筆者:「志望動機はいっぱい練習したの?」
高校生:「はい、たくさん練習しました!」
筆者:「学校で練習したの?」
高校生:「はい、そうです!」
筆者:「面接練習どうだった?」
高校生:「誰が担当かわからずに部屋に入ったら、校長先生でビックリしました!」

緊張がほぐれ、その生徒の人柄がにじみ出る瞬間でした。


■ 面接は「順番」で見え方が変わる

多くの面接担当者は、最初に「志望動機」を確認するケースが多いと思います。
しかし、あえて順番を変えて、興味関心や学生生活の質問から入ることで、
相手の「素の表情」や「本音」が垣間見えることがあります。

面接のスタイルを少し変えてみるだけで、
これまで見えなかった“人となり”が見えてくるかもしれません。


■ まとめ

  • 面接序盤に「興味や経験」を聞くことで、自然な会話の流れが生まれる

  • 欠席や困難な経験も、フォローの仕方次第で前向きな話題に変えられる

  • 志望動機は練習の成果を見るだけでなく、「人柄」を引き出すチャンスにもなる


✳︎あとがき

面接は評価の場であると同時に、相手を理解する場でもあります。
質問の順番や言葉の選び方ひとつで、見える景色が大きく変わります。
次の面接で、少しだけ「順番」を意識してみてください。

志望動機を面接で聞きますか?

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厚生労働省「中学校・高等学校卒業予定者の就職・採用活動時期について」HPへ

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

1972年・大阪府生まれ、日本大学経済学部卒業。
「ハローワーク活用7つの鉄則」で中小建設業の採用対策と社員が辞めない労務管理をサポートする社労士。求人営業を約10年、人材派遣を10年以上経験。2009年に職業訓練(建築CAD科)事業を立ち上げ運営も担当、ハローワーク活用の就職支援で約1,000名のCAD技術者を輩出。卒業生の短期離職で、就職支援の限界を痛感。労務管理改善を目指し社労士資格取得。中小建設業の採用難対策から労務管理を行う。建設業の採用をサポートし『20代の採用は10年以上振り』と感謝の声を頂く。若者離れの業界に採用戦略で風穴を開け、従業員の未来ある環境を真剣にサポートしている。

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