社会保険料と建設業

社会保険料と一口に言っても

業種や職種によって

支払額が異なっていることは

ご存じでしょうか?

 

社会保険料とは?

そもそも社会保険とは

労災保険

雇用保険

厚生年金

健康保険

の総称となります。

 

そして、各保険に対して

料率が決定されており、

さらに、事業者と労働者の

負担割合も決まっています。

 

そこで、今回は建設業と

事務系のお仕事で比較しながら

その両立と金額を明確にします。

 

今回は、金額も明確にするために

給与月額250,000円を基準にします。

また、料率は令和6年度を適用します。

 

労災保険

まず、労災保険ですが

これは事業者負担100%ですので

労働者が支払うことはありません。

 

そして、建設事業の中の

建築事業(既存建築物設備工事業を除く)

において料率は0.95%です。

 

したがって、事業者の支払いは

250,000円×0.95%=2,375円

という計算になります。

 

また、事務的な作業として

その他の事業、その他の各事業と

比較したいと思います。

 

前述の業種は料率が0.3%なので

250,000円×0.3%=750円

という計算になります。

 

雇用保険

次に雇用保険ですが

これは単純に労使折半ではありません。

 

まず、建設の事業であれば

労働者負担=0.7%

事業主負担=1.15%

という料率になります。

 

また、一般の事業であれば

労働者負担=0.6%

事業主負担=0.95%

という料率になります。

 

同様に給与額から計算すると

建設業

労働者負担=1,750円

事業主負担=2,875円

一般の事業

労働者負担=1,500円

事業主負担=2,375円

という負担額になります。

 

厚生年金・健康保険

最後に厚生年金・健康保険ですが

こちらは業種による負担割合に

変化はありませんので

併せて計算したいと思います。

 

まず、厚生年金ですが

全体の料率は18.3%

これを労使折半するので

各々9.15%の負担です。

 

次に健康保険ですが

これは協会けんぽを

対象として計算します。

 

また、健康保険は

介護保険第2号被保険者に該当するか

該当しないかによって保険料率が異なります。

 

今回は該当者として

比較をすると

その料率は11.94%

これを労使折半するので

各々5.97%の負担です。

 

結果として以下の負担額が

労働者及び事業主の金額になります。

厚生年金負担額=23,790円

健康保険負担額=15,522円

 

この金額の算出方法は

単純に料率を掛けるのではなく

賃金のテーブルにて計算した

金額が適用されます。

 

社会保険料まとめ

では、ここまでの内容を

整理していきたいと思います。

 

まず、建設業における

給与月額250,000円の労働者は

労働者負担額=41,062円

事業主負担額=44,562円

の社会保険料が発生します。

 

次に、一般的な職種における

給与月額250,000円の労働者は

労働者負担額=40,812円

事業主負担額=42,437円

の社会保険料が発生します。

 

つまり、労働者においては

給与月額から社会保険料が

毎月上記の金額控除されます。

 

そして、事業主においては

給与月額250,000円の労働者を

雇用すると上記の金額が

別途負担する必要があります。

 

建設業と一般の企業との差額は

月額2,125円になりますが、

労働者が100名ならば

月額212,500円の負担差です。

 

ちなみに月額なので1年なら

2,550,000円の差が発生します。

 

どうでしょう?建設業の社長さん

きちんと社員教育しないと

一般企業とこれだけの差がありますよ。

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

1972年・大阪府生まれ、日本大学経済学部卒業。
「ハローワーク活用7つの鉄則」で中小建設業の採用対策と社員が辞めない労務管理をサポートする社労士。求人営業を約10年、人材派遣を10年以上経験。2009年に職業訓練(建築CAD科)事業を立ち上げ運営も担当、ハローワーク活用の就職支援で約1,000名のCAD技術者を輩出。卒業生の短期離職で、就職支援の限界を痛感。労務管理改善を目指し社労士資格取得。中小建設業の採用難対策から労務管理を行う。建設業の採用をサポートし『20代の採用は10年以上振り』と感謝の声を頂く。若者離れの業界に採用戦略で風穴を開け、従業員の未来ある環境を真剣にサポートしている。

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