賃上げの実態(Ver.2024年)

賃上げや実質賃金について

政府は積極的に取り組んでいますし

報道も沢山行われています。

 

たとえば、先日には大阪に本社をかまえる

くら寿司が社員給与を月額で一律3万円

引上げる報道がされていました。

 

では、中小企業を含めて

本当に賃上げは進んでいるのか

毎月勤労統計で確認していきたいと思います。

 

毎月勤労統計とは

その前にそもそも毎月勤労統計とは

何かについて記載しておきます。

 

賃金・労働時間及び雇用の変動を

明らかにすることを目的に

厚生労働省が実施する調査です。

 

あまり知られていないかもしれません。

しかし、その前身も含めると

大正12年から始まっており、

国の重要な統計調査である

基幹統計調査として実施しされています。

 

そして毎月勤労統計調査は、

常用労働者5人以上の

事業所を対象として

毎月実施する全国調査及び

都道府県別に実施する

地方調査のほか、

常用労働者1~4人の事業所を

対象として年1回7月分について

特別調査を実施しています。

 

賃上げの現状(月別)

まず、労働団体である「連合」の

2024春期生活闘争

いわゆる春闘の中間まとめによると

5%台の賃上げが実現し

賃上げ分は過年度物価上昇率を

上回った。」発表されています。

 

では実際に、毎月勤労統計で

2024年の賃金の変動について

確認したいと思います。

 

就業形態合計

※一般労働者とパート労働者の合計

2024年1月 287,563円 / 2024年2月 281,087円

2024年3月 302,060円 / 2024年4月 296,884円

 

一般労働者

2024年1月 369,382円 / 2024年2月 359,777円

2024年3月 388,858円 / 2024年4月 378,039円

 

パート労働者

2024年1月 104,504円 / 2024年2月 105,156円

2024年3月 108,305円 / 2024年4月 108,358円

 

「むしろ下がってる!」

たしかに、4月はGWなどの休日があり

日給月給で働く人などの給与額が

低くなる月ではあります。

 

しかし、賃上げが一番反映さる時期である

期末から期初(3月~4月)のタイミングで

現実的に下がっているのは

衝撃的な結果でした。

 

賃上げの現状(前年比)

では、月別で減少だとするのならば

昨年と比較したらどうなっているのでしょう?

 

就業形態合計

2023年4月 284,595円

2024年4月 296,884円

 

一般労働者

2023年4月 369,615円

2024年4月 378,039円

 

パート労働者

2023年4月 103,278円

2024年4月 108,358円

 

こちらはちゃんと上がっており

一安心という感じです。

 

しかし、上昇率で考えた時に

まず、就業形態合計 4.3%

次に、一般労働者 2.3%

そして、パート労働者 4.9%

という結果でした。

 

これは、連合の発表よりも

あきらかに低い数値です。

 

まとめ

今回の内容は少しビックリする

内容だったのではないでしょうか?

 

もちろん、毎月の現金給与額の

統計となっているので賞与が発生する

6月、7月、12月は高くなる

傾向がある統計ではあります。

 

しかし、現実的に賃上げを実感できていない人が

多い現状を反映した結果だと思います。

 

実際には、大手企業を中心とした

賃上げが取り上げられているのであって、

日本企業の90%以上を占める

中小企業では賃上げが行われていない結果を

反映しているのではないでしょうか?

毎月勤労統計調査と最賃引上

毎月勤労統計調査と最低賃金

毎月勤労統計調査と最低賃金

厚生労働省「毎月勤労統計」ページ

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

1972年・大阪府生まれ、日本大学経済学部卒業。
「ハローワーク活用7つの鉄則」で中小建設業の採用対策と社員が辞めない労務管理をサポートする社労士。求人営業を約10年、人材派遣を10年以上経験。2009年に職業訓練(建築CAD科)事業を立ち上げ運営も担当、ハローワーク活用の就職支援で約1,000名のCAD技術者を輩出。卒業生の短期離職で、就職支援の限界を痛感。労務管理改善を目指し社労士資格取得。中小建設業の採用難対策から労務管理を行う。建設業の採用をサポートし『20代の採用は10年以上振り』と感謝の声を頂く。若者離れの業界に採用戦略で風穴を開け、従業員の未来ある環境を真剣にサポートしている。

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