労働時間や休日に関する法令違反で、毎年のように複数の会社が書類送検されています。
実際に、大阪労働局での書類送検件数は以下の通りです。
- 令和3年:13件
- 令和4年:3件
- 令和5年:4件
そこで、先週のブログに引き続き、クイズ形式で労働時間のポイントを整理していきましょう。
第一問:KY活動
問題
始業時刻が8:00のため、8:00には作業開始できるように7:50から危険予知(KY)活動を実施している。この7:50~8:00は労働時間に該当しますか?
解説
危険予知(KY)活動は業務と密接に関係するため、労働時間に該当します。
また、朝礼やラジオ体操を始業前に行っている会社もありますが、
- 義務付けられている場合
- 就業規則で処分対象となっている場合
などは労働時間に該当します。
一方で、自由参加であれば、労働時間には該当しません。
第二問:新聞閲覧
問題
始業時刻は9:00ですが、通勤ラッシュを避けるために8:10に出勤し、業界新聞を読んで知識を広げています。この8:10~9:00は労働時間に該当しますか?
解説
自主的な自己啓発活動として業界新聞を閲覧する場合は労働時間に該当しません。
しかし、上司の指示で閲覧している場合は、該当する可能性があるため注意しましょう。
第三問:作業着等の着替え
問題
建設業のため作業員には作業服を、事務員には事務服を支給しています。
また、車通勤の人は制服での通勤を認めていますし、公共交通機関で通勤する人のために更衣室も準備しています。
この場合、作業服や事務服への着替えの時間は労働時間に該当しますか?
解説
作業服・制服の着替えについては、判例でも労働時間に該当すると判断されるケースが多くあります。
ただし、以下の場合は原則として該当しません。
- 通勤時に制服の着用を認めている
- ジャケットなど簡易な制服
- 従業員の都合での着替え
第四問:清掃
問題
事務所内の清掃を、従業員が持ち回りで行っています。毎日、終業時刻の18:00から約10分間、掃除機掛けを実施しています。
特に上司からの指示はないが、上司からも掃除していると「ありがとう」と言ってもらえます。この18:00~18:10は労働時間に該当しますか?
解説
清掃が業務上の義務として定められている場合、労働時間に該当します。
今回のケースでは、
- 指示はなくても慣例化している
- 上司も黙認している
といったことから、労働時間に該当すると判断されます。
上司が従業員の時間外労働を知りながら放置する=「黙認」は指示しているとみなされるので注意が必要です。
労働時間とは?
労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と定義されています。
したがって、労働や労働時間に該当するか否かは、客観的に評価されるものです。
- 労働契約
- 就業規則
- 労使協定
などの定めがあっても、それによって決定されるものではありません。
まとめ
今回のクイズを通じて、労働時間に該当するかどうかの基準が少し明確になったのではないでしょうか?
「業務と密接に関係しているか」「指揮命令下にあるか」を意識して、正しい理解を深めていきましょう!
時間管理(Ver建設業)
横浜北労働基準監督署「その時間 労働時間ですよ!」
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