インボイスの導入が着実に近づいてます。
何故、社労士がインボイス?
そもそも、インボイス制度は
消費税の問題なので
社会保険労務士である私が
ブログにする内容ではないかもしれません。
しかし、建設業社労士と名乗っている以上、
建設業界で大問題となりえる
インボイス制度を無視するわけにいきません。
なので、今回はあえて建設業における
インボイス制度の問題を書いていきたいと思います。
そもそもインボイスって何?
まず、インボイス制度を正しく理解するためには、
消費税の基本的な事項を理解したうえで
現在の制度を確認する必要があります。
そして、現在の制度とインボイス制度で
何が異なるかを明確にしていきましょう。
消費税の基本事項
消費税とは商品・製品の販売や
サービスの提供などの取引に対して
広く公平に課される税です。
最終的に商品等を消費し
又はサービスの提供を受ける
消費者が負担し、事業者が納付します。
そして、上記のケースならば
消費税を負担するのは
消費者になります。
しかし、実際に消費者が
消費税を納税するのではありません。
実際には、生産・製造業者、卸売業者、
小売業者がその仕入額、売上額に発生する
消費税の差額分を納税することになります。
現在の制度
現在の制度は区分記載請求書等保存方式で
令和元年10月1日に導入され
令和5年9月30日まで適用されています。
軽減税率の対象品目の売上げや
仕入れがある事業者は、
区分記載請求書等の交付や記帳などの
経理(区分経理)を行う必要があります。
そして、課税事業者の方は、
仕入税額控除の適用を受けるためには、
区分経理に対応した帳簿及び
区分記載請求書等の保存が必要です。
インボイス制度
インボイス制度の正式名称は
適格請求書等保存方式で
令和5年10月1日より適用されます。
適格請求書とは
「売手が、買手に対し正確な適用税率や
消費税額等を伝えるための手段」
であり、登録番号のほか、
一定の事項が記載された請求書や
納品書その他これらに類する書類をいいます。
(ここまでが、テレビCMなどで放映されている内容)
(以下が建築業界で問題となる可能性が高い内容)
適格請求書を交付することができるのは、
税務署長の登録を受けた
「適格請求書発行事業者」に限られます。
そして、買手が仕入税額控除の適用を
受けるためには帳簿のほか、
売り手から交付を受けた「適格請求書」等の
保存が必要となります。
実際に何が問題なのか?
適格請求書を交付することができるのは、
税務署長の登録を受けた
「適格請求書発行事業者」に限られます。
だから、免税事業者や消費者など、
適格請求書発行事業者以外の者から行った
課税仕入れは、原則として
仕入税額控除の適用を受けることができません。
≪一人親方が適格請求書発行事業者でないケース≫
上記のケースで説明すると、
一人親方である免税事業者
(適格請求書発行事業者ではない)が
建設会社から仕事を請負い
600万円(売上)+60(消費税)を
一人親方に支払った場合、
建設業B社は消費税の
仕入税額控除をできず、
B社が消費税60万円を
消費税として負担することになります。
B社が一人親方10名に
仕事を同額でお願いしていた場合、
B社は600万円分の
仕入税額控除をすることができず、
自社で消費税を負担することになります。
ここが大きな問題となるのです。
≪一人親方が適格請求書発行事業者となるケース≫
一人親方Aさんが免税事業者
(年間売上額1000万円以下)の場合、
Aさんが適格請求書発行事業者の登録を行うと、
Aさんは例え年間売上額が1000万円以下であったとしても
免税事業者ではなくなり、
消費税を納税する必要が発生します。
そうすると実際の手取りは
同じ売上だった前年よりも
収入が60万円低下することになります。
こちらも収入減の問題が発生します。
インボイスまとめ
建設業界には
一人親方として
お仕事をされている方が
多数存在しています。
インボイス制度が施行されると、
免税事業者であった一人親方の
消費税額を誰かが
納税しなければならないことになります。
その納税者が一人親方に
仕事を発注している企業だとすると、
仕入税額控除ができないことにより
納税分を負担することになり、
納税者が一人親方の場合は
親方個人が消費税額を納税することになります。
当事務所ではインボイス制度施行前ではありますが、
既に一人親方も発注企業も納得する、
Win-Winの関係で解決した事例があります。
ご相談はお気軽のご連絡ください。
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