毎月勤労統計調査と最賃引上

毎月勤労統計調査という指標が

厚生労働省から発表されているのを

ご存じでしょうか?

毎月勤労統計調査とは?

賃金・労働時間及び雇用の変動を

明らかにすることを目的に

厚生労働省が実施する調査です。

あまり知られていないかもしれません。

しかし、その前身も含めると

大正12年から始まっており、

国の重要な統計調査である

基幹統計調査として実施しされています。

そして毎月勤労統計調査は、

常用労働者5人以上の

事業所を対象として

毎月実施する全国調査及び

都道府県別に実施する

地方調査のほか、

常用労働者1~4人の事業所を

対象として年1回7月分について

特別調査を実施しています。

毎月勤労統計調査と最低賃金

最低賃金引上げ

2023年度も10月に最低賃金が

引上げられました。

そして今回の引上げは

過去最高額となっております。

具体的には昨年度の961円から

43円引上げられて

全国平均加重平均額は1,004円となりました。

昨年度は最低賃金が1,000円を超えた

都道府県は東京・神奈川・大阪でした。

そして今年度は埼玉・愛知・京都・兵庫が

さらに加わり8都道府県となりました。

では、実際に最低賃金の引上げは

どれ位の効果があったのかを

毎月勤労統計調査を使って

確認してみたいと思います。

全労働者計

まず全労働者計の月間給与額は

2023年9月は277,700円

2023年10月は279,172円

と発表されています。

次に同統計にて月間労働時間は

2023年9月は136.5時間

2023年10月は138.2時間

と発表されています。

これを時間単価に換算するために

労働時間で除したいと思います。

すると2023年9月は

277,700円÷136.5時間=2,034円/1時間

次に2023年10月は

279,127円÷138.2時間=2,020円/1時間

つまり時間単価に換算すると

14円下がるという結果でした。

パートタイム労働者

最低賃金の引上げ効果は

低賃金労働者に恩恵が大きいので

パートタイム労働者で同様に

比較してみたいと思います。

まずパートタイム労働者の月間給与額は

2023年9月は101,854円

2023年10月は103,132円

と発表されています。

次に同統計にて月間労働時間は

2023年9月は79.2時間

2023年10月は79.3時間

と発表されています。

これを時間単価に換算するために

労働時間で除したいと思います。

すると2023年9月は

101,854円÷79.2時間=1,286円/1時間

次に2023年10月は

103,132円÷79.3時間=1,301円/1時間

時間単価に換算して15円の

アップという結果でした。

最低賃金引上げ分の43円には

届きませんが単価アップという

結果にはなっております。

まとめ

毎月勤労統計調査によると

最低賃金の引上げの効果は

労働者全体では限定的?

むしろ関係ない状況です。

しかしパートタイム労働者の

賃金の引上げには寄与している

ことが確認できます。

そもそも一般的な労働者は

現在の最低賃金よりも

高い給与水準で働いています。

したがって低賃金になりやすい

パートタイム労働者に

最低賃金引上げの恩恵があったと

考えることができるだと思います。

私見としては最低賃金引上げを政府は

大々的にアピールしていましたが、

その効果は限定的と見えてしまいます。

最低賃金改定(令和5年度)

最低賃金改定(令和5年度)

最低賃金改定(令和5年度)

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

1972年・大阪府生まれ、日本大学経済学部卒業。
「ハローワーク活用7つの鉄則」で中小建設業の採用対策と社員が辞めない労務管理をサポートする社労士。求人営業を約10年、人材派遣を10年以上経験。2009年に職業訓練(建築CAD科)事業を立ち上げ運営も担当、ハローワーク活用の就職支援で約1,000名のCAD技術者を輩出。卒業生の短期離職で、就職支援の限界を痛感。労務管理改善を目指し社労士資格取得。中小建設業の採用難対策から労務管理を行う。建設業の採用をサポートし『20代の採用は10年以上振り』と感謝の声を頂く。若者離れの業界に採用戦略で風穴を開け、従業員の未来ある環境を真剣にサポートしている。

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