最低賃金1,054円に!

過去最大の上げ幅

2024年度の最低賃金の目安を

全国平均で1,054円にすると

中央最低賃金審議会が決定した。

 

これは前年度の1,004円から

50円の引上げであり、

前年度の43円を上回る

過去最大の引上げ金額です。

 

しかし、全国一律で引上げが実施される訳ではありません。

 

実際にはこの全国平均引上げ額を目安に

各都道府県別で最低賃金は決定されます。

 

実際に前年度の引上げ額は

43円と前述しました。

 

しかし、岩手県では39円の引上げ

全国で最低金額の引上げでした。

 

その一方は島根県や佐賀県では

47円と全国トップの引上げ額でした。

 

さて、この最大の引上げの影響は

実体経済にどの様な影響を与えるのでしょうか?

 

また、この引上げ根拠とも言われる物価上昇率と

比較したときに人々の暮らしは楽になるのでしょうか?

 

最低賃金と物価上昇率

まず、今回の最低賃金について

ひとつの目安となったのが

消費者物価指数です。

 

そして、消費者物価指数とは

全国の世帯が購入する

財やサービスの価格の

平均的な変動を測定する経済指標です。

 

実際に、この消費者物価指数が

前年比で3%前後の伸びが続いており

物価上昇への対応が求められました。

 

また、2024年度の春季労使交渉の

賃上げ率が平均5.1%

高水準となったことも大きく影響しています。

 

最低賃金と実態給与

では、この最低賃金の引上げは

本当に労働者の賃金に

反映されているのでしょうか?

 

まず、2002年度の最低賃金は

全国平均で902円でした。

 

そして2023年度の最低賃金は

全国平均で1004円でした。

 

つまり、平均賃金は11.3%

引上げられているのです。

 

しかし、毎月勤労統計によると

2020年度から2023年度の

現金給与総額の伸び幅は

3.5%となっております。

 

つまり、最低賃金の引上げが

労働者の賃金を直接的に引上げる効果は

それほど大きくはありません。

 

最低賃金引上げ効果

では、最低賃金引上げの効果は

誰に恩恵が大きいのでしょうか?

 

それはパートタイム労働者です。

 

パートタイム労働者は

全国で約1530万人以上になります。

 

そして、この中には最低賃金に近い水準で

働いている方も多く、

この大幅の引上げの恩恵を

直に受けやすいのです。

 

実際に昨年の最低賃金が引上げられた10月と引上げ前の9月を比較してみます。

 

まず、一般労働者では

2023年9月 2034円/時間

2023年10月 2020円/時間

と時間単価が減少しています。

 

しかし、パートタイム労働者

2023年9月 1286円/時間

2023年10月 1301円/時間

時間単価15円の上昇です。

 

まとめ

最低賃金引上げは賃金上昇に

一定の効果があることは間違いありません。

 

しかし、その効果は限定的で

労働者全体に及ぼす影響は

軽微と言わざるを得ません。

 

そして、恩恵を受けるのは

パートタイム労働者が中心であり

一般労働者には大きな影響はないです。

 

毎年、この時期と実際に引上げになる

9~10月にニュースになる事なので

正しく理解しておくことをお勧めします。

毎月勤労統計調査と最賃引上

毎月勤労統計調査と最低賃金

毎月勤労統計調査と最低賃金

厚生労働省「最低賃金制度の概要」ページへ

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

1972年・大阪府生まれ、日本大学経済学部卒業。
「ハローワーク活用7つの鉄則」で中小建設業の採用対策と社員が辞めない労務管理をサポートする社労士。求人営業を約10年、人材派遣を10年以上経験。2009年に職業訓練(建築CAD科)事業を立ち上げ運営も担当、ハローワーク活用の就職支援で約1,000名のCAD技術者を輩出。卒業生の短期離職で、就職支援の限界を痛感。労務管理改善を目指し社労士資格取得。中小建設業の採用難対策から労務管理を行う。建設業の採用をサポートし『20代の採用は10年以上振り』と感謝の声を頂く。若者離れの業界に採用戦略で風穴を開け、従業員の未来ある環境を真剣にサポートしている。

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