クイズで学ぶスポットワーク(労働者編)

前回は事業主向けに「スポットワークの留意事項」をクイズ形式で解説しました。
そこで、今回は実際に働く側 ― 労働者(スポットワーカー)の皆さんが知っておくべきポイントを、同じくクイズ形式で分かりやすく紹介します。


第一問 労働契約の関係

スポットワークの仲介者であるサイト運営者は次のうちどの役割でしょう?

A) 労働者の雇用主
B) 労働者派遣の派遣元
C) 有料職業紹介事業者
D) 単なるサイト運営者

解説
サイト運営者は「単なるマッチングサービス」ではありません。

法的には有料職業紹介事業者にあたります。
そのため、労働契約はサイト運営者ではなく 募集企業(雇用主) と結ぶことになります。

正解:C) 有料職業紹介事業者


第二問 賃金の遅配

「即日払い」と記載のあるサイトで働いたのに、当日賃金が受け取れません。確認すべき相手は誰でしょう?

A) サイト運営者
B) 働いた雇用主
C) 自分の保護者
D) 確認しても無駄

解説
多くの場合、即日払いサービスは サイト運営者が雇用主に代わって支払う仕組み です。
したがって、事業主に問い合わせても対応できないケースが多く、まずはサイト運営者に確認するのが正解です。

正解:A) サイト運営者


第三問 違法行為となるケース

次のうち「職業安定法違反」となる可能性があるのはどれでしょう?

A) 無断欠勤した分の賃金が支払われなかった
B) 遅刻分の賃金が支払われなかった
C) 年齢を偽って登録し、紹介を拒否された
D) 1回の無断欠勤でサイト利用を停止された

解説
職業安定法第5条の7では、職業紹介事業者は求職申込を原則受理しなければならないと定めています。
無断欠勤1回が「法令違反」とは言えないため、これを理由にサイト利用を停止するのは違法の可能性があります。

正解:D) 1回の無断欠勤でサイト利用を停止された


第四問 休業手当

勤務前日に雇用主から「急遽キャンセル」と連絡がありました。この場合の賃金の扱いは?

A) 働いていないので未支給
B) 予定分の30%支給
C) 予定分の50%支給
D) 予定分の60%支給

解説
まずスポットワークは、応募時点で労働契約は成立していると考えられます。
そのため、事業主都合でキャンセルされた場合は「休業手当」として 予定額の60%以上の支払い が必要です。

正解:D) 働く予定分の60%支給


まとめ スポットワーカーが気をつけるべきこと

クイズ以外にも、スポットワークでは以下の点に注意しましょう。

  • 労働時間の扱い
    ・予定と異なる時間働いた場合は必ず雇用主に報告・承認を受ける
    ・着替え・清掃なども労働時間に含まれる

  • 賃金の減額は違法
    ・「働きが悪い」といった理由での一方的な減額は違法
    ・交通費など別途支給が約束されたものの未払いも違法

  • 一般労働者と同等の権利
    ・通勤・勤務中の怪我は労災の対象
    ・ハラスメント防止措置も適用される


おわりに

スポットワークは自由度が高い一方、トラブルに巻き込まれることもあります。
したがって、正しい知識を持って働くことを意識しましょう。

すると自分の権利を守りながら安心して仕事を続けられます。


クイズで学ぶスポットワーク(事業主編)

クイズで学ぶスポットワーク(事業主編)

クイズで学ぶスポットワーク(事業主編)

厚生労働省「いわゆる「スポットワーク」の留意事項等」HP

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

1972年・大阪府生まれ、日本大学経済学部卒業。
「ハローワーク活用7つの鉄則」で中小建設業の採用対策と社員が辞めない労務管理をサポートする社労士。求人営業を約10年、人材派遣を10年以上経験。2009年に職業訓練(建築CAD科)事業を立ち上げ運営も担当、ハローワーク活用の就職支援で約1,000名のCAD技術者を輩出。卒業生の短期離職で、就職支援の限界を痛感。労務管理改善を目指し社労士資格取得。中小建設業の採用難対策から労務管理を行う。建設業の採用をサポートし『20代の採用は10年以上振り』と感謝の声を頂く。若者離れの業界に採用戦略で風穴を開け、従業員の未来ある環境を真剣にサポートしている。

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