中間搾取の排除

中間搾取の排除とは?

中間搾取の排除は

労働基準法第六条に

規定されています。

第六条(中間搾取の排除)

何人も、法律に基いて許される場合の外、

業として他人の就業に介入して

利益を得てはならない。

そもそも、中間搾取とは

賃金支払者と労働者との間に介在し、

賃金の一部を横取りすること

と定義されています。

では具体的に、他人の就業に介入するとは

どういったケースが存在しているのでしょう?

中間搾取に該当しない具体例

職業紹介事業

まず、思いつくのが

いわゆる人材紹介ではないでしょうか?

正式には職業紹介といわれるものになります。

これは、職業安定法において

求人及び求職の申込みを受け、

求人者と求職者との間における

雇用関係の成立をあつせんすることをいう

と定義されています。

また、この職業紹介に関して

手数料または報酬を受けて行う事業を

有料職業紹介といいます。

例えば、リクルートエージェント

他にも、パソナキャリア

そして、JACリクルートメント

などが代表的な企業です。

そして、現在ではエージェントサイトと呼ばれている

例えば、ビズリーチ

そして、リクルートダイレクトスカウト

などもネット上で職業紹介を行う事業者です。

一方、職業紹介に関しいかなる名義でも

手数料又は報酬を一切受けないで行う事業を

無料職業紹介といいます。

例えば、学校等の施設の長が行う場合

他にも、地方公共団体が行う場合

などが代表的な例になります。

しかし、職業紹介は職業安定法で

認められているので

「法律に基いて許される場合の外」に該当するので、

中間搾取の排除には該当しないことになります。

労働者派遣事業

次にピンとくるのは人材派遣ではないでしょうか?

正式には労働者派遣事業といわれます。

労働者派遣事業とは派遣元事業主が

自己の雇用する労働者を、

派遣先の指揮命令を受けて、

この派遣先のために

労働に従事させることを

業として行うことをいいます。

労働者を派遣して

派遣先企業より派遣料を受領し、

労働者に賃金を支払っているので、

一見では中間搾取と

思われかもしれませんが、

労働者派遣業は

「自己の雇用する労働者を」とあるように

雇用する労働者を派遣しているので、

「他人の就業に介入」しているのではなく、

就業に関する当事者となるので、

中間搾取には該当しません

しかし、労働者派遣事業において

中間搾取に該当する場合もあります。

それは二重派遣といわれる状況です。

そして二重派遣とは

派遣労働者が、派遣先(A社)から

さらに別の会社(B社)に派遣され

その会社の指揮命令を受けて就業する状況です。

このケースはA社と労働者に

雇用関係が無い状況なので

職業安定法の労働者供給事業に該当し、

中間搾取の排除に該当します。

紹介制度

各企業が従業員などに

紹介制度として入社1名につき

紹介料を支払うケースがあります。

これについてはケースによっては

中間搾取となることがあるので注意が必要です。

例えば「業として」という文言があるので、

営利を目的として反復継続することをいいますが、

1回の行為でも反復して利益を得る意思があれば

業に該当するとされています。

したがって、この制度を利用して

利益を得る意思を持って紹介すると

中間搾取となる可能性があります。

また、利益とは金銭に限定されておらず、

手数料、報奨金、金銭以外の財産等の

如何なる名称であるかを問わず、

有形無形であるかを問わないとされています。

罰則規定

この中間搾取については罰則規定も設けられており、

1年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。

労働基準法においては強制労働に次いで

2番目に重い罰則が設けられています。

中間搾取まとめ

中間搾取は労働者の賃金の一部を

横取りするものであり、

労働者に一方的な不利益を

もたらすことになるので

認められておりません。

しかし、職業紹介のように

労働市場とのマッチング促進の観点から

法律で認められている場合には

許可制として行うことが可能です。

また、労働者派遣事業のように

雇用者を派遣することは

雇用関係の当事者となるので

中間搾取には該当しません

そして、社内で紹介制度を設ける時には

反復して利益を得る意思があるような場合は

中間搾取に該当するケースもあるので、

注意が必要になります。

労働基準法を第一条だけで読み解く

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ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

1972年・大阪府生まれ、日本大学経済学部卒業。
「ハローワーク活用7つの鉄則」で中小建設業の採用対策と社員が辞めない労務管理をサポートする社労士。求人営業を約10年、人材派遣を10年以上経験。2009年に職業訓練(建築CAD科)事業を立ち上げ運営も担当、ハローワーク活用の就職支援で約1,000名のCAD技術者を輩出。卒業生の短期離職で、就職支援の限界を痛感。労務管理改善を目指し社労士資格取得。中小建設業の採用難対策から労務管理を行う。建設業の採用をサポートし『20代の採用は10年以上振り』と感謝の声を頂く。若者離れの業界に採用戦略で風穴を開け、従業員の未来ある環境を真剣にサポートしている。

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