中小企業も60時間超は50%の割増賃金!


中小企業にも適用拡大

いよいよ中小企業で施行が猶予されていた

時間外労働60時間超分の割増率50%が

2023年4月1日より中小企業も適用対象となります。

さて、そもそもこの労働基準法の改正は

いつ行われたかというと、

一定の基準を満たす大企業には

2010年4月1日より施行されておりました。

そして、13年間の猶予期間を経て

中小企業にも適用拡大されることになったのです。

(13年間も猶予されてきた法律が

世の中に本当に必要かどうかは疑問ですが、

今回の内容には関係ないのでおいておきましょう!)

時間外労働の基本を確認

今回も『またか』という感じですが、

労働法制は解釈に苦しむ時があります。

そこで時間外労働の基本についておさらいしておきたいと思います。

1日の労働時間は8時間または1週間で40時間

そもそも労働基準法では

「第三十二条 1.使用者は、労働者に、

休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、

労働させてはならない。

2.使用者は、一週間の各日については、

労働者に、休憩時間を除き一日について

八時間を超えて、労働させてはならない。」

と規定されています。

つまり、8時間を超えての労働はNGなのですから、

そもそも時間外労働はさせてはいけないのです。

なんで時間外労働が可能なの?

しかし、実際にどうして時間労働が可能なのかというと

(長いし法律用語なので面倒くさい人は「 」は読み飛ばしてね)

「第三十六条 使用者は、当該事業場に、

労働者の過半数で組織する労働組合が

ある場合においてはその労働組合、

労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては

労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、

厚生労働省令で定めるところにより

これを行政官庁に届け出た場合においては、

第三十二条から第三十二条の五まで若しくは

第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)

又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)

に関する規定にかかわらず、

その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、

又は休日に労働させることができる。」

という規定があるからです。

つまり、協定(いわゆる36協定)を結べば

時間外労働させてOKということになっているからです。

時間外労働の上限は?

さて、これも労働基準法に明記されており

「第三十六条 ④前項の限度時間は、

一箇月について四十五時間及び

一年について三百六十時間とする。」

となっております。

つまり時間外労働は1ヶ月45時間、

1年360時間までしかさせることが出来ないのです。

皆さん気付きましたね!

そうです、何で1カ月45時間までしか

時間外労働させられないのに、

1ヶ月60時間超分の割増率50%が

設定されているの?不思議ですよね?

時間外労働破りを可能にする36協定、36協定破りを可能にする特別条項

もう、法律内容は記載しませんが

1ヶ月45時間、1年360時間までしか

させることが出来ない時間外労働の協定(いわゆる36協定)に

特別条項という内容を付加することで、

一定条件の下で1ヶ月45時間、

1年360時間を超えての時間外労働は可能なのです。

やっと本題!

だから1ヶ月60時間超分の割増率50%という

時間外労働がありえるのです。

(「はー、はー、はー。」もはや説明するのも大変な法律です)

この法律が2023年4月1日より中小企業にも適用され、

全企業で実施されることになるのです。

中小企業の社長さんへ

来年の4月より改正法は施行されます。

残業抑制、変形労働時間制の導入など

具体的な対策を行っていますか?

また、「当社では固定残業手当(みなし残業手当)

を設定してるから大丈夫」と思っている社長さん!

固定残業手当も60時間超分については

50%割りましで計算しなければならないですよ。

特に建設業や運送業を営んでいる会社さんは

ご注意
ください。

そして、残業規制の例外措置は

2024年3月31日(今回の改正の1年後)まで

適用されています。

しかし、残業規制の例外措置と

今回の割増率の適用の問題は別ですよ。

中小企業で働く労働者の方へ

割増率が上がる=収入増ではないですよ。

もちろん、一部にはそういった方もいるかもしれません。

しかし、この法改正は労働者の賃金対策というよりは

『残業抑制』を目的としています。

したがって、各企業は基本的には残業抑制に着手し、

月間45時間を超えないような残業管理を行っていく必要があるからです。

休日出勤と60時間超時間外労働の関係

休日出勤と60時間超時間外労働の関係

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ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

ゼロコスト採用コンサルタント 渡瀬 暢也

1972年・大阪府生まれ、日本大学経済学部卒業。
「ハローワーク活用7つの鉄則」で中小建設業の採用対策と社員が辞めない労務管理をサポートする社労士。求人営業を約10年、人材派遣を10年以上経験。2009年に職業訓練(建築CAD科)事業を立ち上げ運営も担当、ハローワーク活用の就職支援で約1,000名のCAD技術者を輩出。卒業生の短期離職で、就職支援の限界を痛感。労務管理改善を目指し社労士資格取得。中小建設業の採用難対策から労務管理を行う。建設業の採用をサポートし『20代の採用は10年以上振り』と感謝の声を頂く。若者離れの業界に採用戦略で風穴を開け、従業員の未来ある環境を真剣にサポートしている。

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