中小企業の社長さんや従業員さんとお話ししていると、時々ビックリすることがあります。
それは、次のような発言を耳にすることがあるからです。
「退職するなら3か月前に言ってもらわないと困る」
「朝の掃除は仕事じゃないから給料は出さない」
「アルバイトに有給休暇なんてないよ」
「遅刻したから罰金を徴収する」
「会社が暇だから1週間休んで。給料は出さない」
会社では当たり前だと思っているルールでも、実は法律上問題となるケースがあります。
今回は、そんな「社長の発言」を5つ取り上げてみます。
1.「退職は3か月前に言わないと辞められない」
「退職するなら3か月前に言わないと辞められないよ」
このように言われた場合、本当に3か月間辞めることができないのでしょうか。
期間の定めのない雇用契約については、民法上、原則として退職の申入れから2週間が経過すると雇用契約を終了させることができます。
「3か月前に言わなければ絶対に退職できない」という会社のルールが、そのまま法律上有効になるわけではありません。
ただし、有期労働契約の場合には別のルールがありますので注意が必要です。
2.「朝15分の掃除は給料を出さない」
「8時45分から掃除をしてもらうけど、始業は9時だから、その15分は給料なしね」
これもよくある問題です。
会社から指示されている掃除や朝礼などは、実態によっては労働時間に該当します。
労働時間に該当するのであれば、その時間について賃金を支払わなければなりません。
「たった15分だから」「みんな自主的にやっている」という理由だけで、賃金を支払わなくてよいとは限りません。
3.「アルバイトに有給休暇なんてない」
「アルバイトだから有給休暇はないよ」
これは間違いです。
一定の要件を満たせば、パートやアルバイトにも年次有給休暇が付与されます。
正社員だけの制度ではありません。
また、勤務日数が少ないパート・アルバイトについては、所定労働日数に応じて有給休暇が比例付与される仕組みがあります。
「アルバイトだから有給はない」という判断は非常に危険です。
4.「遅刻したから罰金を徴収する」
30分遅刻した従業員に対して、
「遅刻したから罰金を取る」
という対応をしている会社は注意が必要です。
実際に働かなかった時間について賃金を支払わない、いわゆる「ノーワーク・ノーペイ」の考え方はあります。
しかし、遅刻したことを理由として、必要以上の金額を罰金として徴収することは別の問題です。
会社が制裁として減給を行う場合にも、労働基準法上のルールがあります。
「遅刻したから罰金」というルールを自由に決められるわけではありません。
5.「会社が暇だから1週間休んで。給料は出さない」
「仕事が暇だから、明日から1週間休んで。給料は出さないよ」
これも注意が必要な発言です。
労働者自身の都合ではなく、会社側の事情によって休業させる場合には、労働基準法上の「休業手当」が必要となることがあります。
休業手当は、原則として休業させた期間について平均賃金の60%以上を支払う必要があります。
ただし、会社側の責任による休業なのか、不可抗力による休業なのかなど、具体的な事情によって判断は変わります。
単純に「仕事がないから無給で休ませる」というわけにはいかない場合があります。
まとめ
今回は、中小企業で耳にすることがある「社長の発言」を5つ取り上げました。
「退職は3か月前に言わないと辞められない」
「朝15分の掃除は給料を出さない」
「アルバイトに有給休暇なんてない」
「遅刻したから罰金を徴収する」
「会社が暇だから1週間休んで。給料は出さない」
これらは、会社では昔から続いている「当たり前のルール」なのかもしれません。
しかし、退職、労働時間、年次有給休暇、賃金、休業手当などには、それぞれ法律上のルールがあります。
「昔からこうしているから」
「うちの会社ではこれが普通だから」
という理由だけで労務管理を行っていると、知らないうちに法律違反となってしまう可能性があります。
会社のルールは、「社長が決めたからOK」ではありません。
一度、自社の就業規則や労務管理の方法を見直してみてはいかがでしょうか。
労務管理研修の前に|まずは基本知識の確認から
厚生労働省資料「適切な労務管理のポイント」


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